cancheerの考え方
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忘れモノをめぐる日本の均衡点

日付

2006.05.28

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いつものようにタイム誌を読む。特集はベストアジア。魂(Soul)のため、とあります。てっきり健康関連だと思いきや、こんな写真がありました。大量の、傘。すべて忘れモノです。これを見て、癒されたり、あるいはひねくれた性格を直すのに役立てよう?との記事でした。

 

 

忘れモノ、と言えば、僕には非常に多くの思い出があります。何しろ、それだけで、飲み会のネタで30分はもつのです(笑)。遊びで書いてみた、ヒロシ風ひと言ギャグをご覧ください。厳密に言えば、ギャグではなくて僕の実話です。
○ 僕のケータイの電話帳欄には、忘れモノセンター(鉄道の遺失物取扱所・総合受付)の番号。ほぼ都内全社を登録してるとです。
○ 忘れ物を取りに行って、また置き忘れてきたことがあります。
○ なかなか信じてもらえんのですが、スーツのズボンを忘れたことがあります。
○ 傘は、家まで持ち帰ったことのほうが少ないのに気付きました。
○ ごくたまに、電車に乗ったのに目的地を忘れてるとです。
○ あるとき、寝ていた妻を忘れ、ひとりで降りてしまったことがあります。

などなど。ボケ防止の薬が必要ですね。ただ、よくよく考えると、原因の大半は、電車の中で本に夢中になること。集中力がすごいんでしょうか・・(笑)。バカですね。

 


さて、話を戻しますが、タイム誌の記事曰く、“Should you ever doubt・・”、信じられないでしょうッ、つまり現金やクレジットカードが満々と入った財布が持ち主のもとに戻り、何も盗られていない。そのことに、海外では驚きを禁じえないようです。現に統計値が示しているのは、昨年東京で届出のあった財布の紛失件数は約26万件。一方、警察まで届けられた財布は、約20万件。また、地下鉄でなくなったという携帯電話のうち95%が見つかったそうです。確かに、海外の人が不思議がるのも無理はありません。これは、僕自身の海外の友人もほぼみんなが驚く比率です。

 

Losing Your Personal Belongings
What can account for this? Traditional virtues, certainly (teaching children to hand in lost items is commonplace anywhere in the world, but is done with real zeal in Japan). Empathy with one's fellow commuters and city dwellers, perhaps. Whatever the explanation, these displays of honesty routinely astonish visitors from abroad. "In London, if you left an umbrella outside a 7-Eleven, it'd be gone by the time you entered the store," says Dick Catlin, an expatriate investment banker from England who lost his camera, phone and house keys in a Tokyo bar only to find them untouched the next day. "But Japan is extremely unusual." (TIME、May 15, 2006)

 


日本の遺失物取扱の現状は、すでに二年以上前にも、ニューヨークタイムズが「日本人の誠実さ」(Japanese Honesty)との記事を掲載しています。しかし、逆に言えば、平気でモノをなくしてしまうような不注意な人が増えたという点も指摘されています。モノがあふれているので、親が叱らない、本人も反省しない。それで、膨大な忘れモノが遺失物取扱所に届いてしまう。僕もそうですから、恥ずかしい限りです。まあ、そんな遺失物取扱所に何度も行ったことのある僕は、いつもそこで不思議な光景を目撃していました。不思議な人、不思議なモノ、不思議な質問。反省を忘れて、それらを題材に小説が書けるような妄想が始まってしまいます。あ・・いかんとです!。

 

 

Has anyone lost £66m and an umbrella?
 The Japanese are a forgetful people: in 2004, 7.4 million items were reported lost. An even larger number of objects was handed in ― 10.7 million; three and a half times the annual number when records began 50 years ago.・・
 Technically anyone who fails to hand in lost property in Japan can be convicted of embezzlement. Those who do are rewarded with 10 per cent of a lost object’s value if it is reclaimed, and can keep their find if it is not.Perhaps because of this strict legal framework definitions of what constitutes lost property have become very wide indeed. “Sometimes, schoolchildren hand over a few sweets that they’ve found on the train,” said Kazuo Yamazaki of the Lost Property Centre in Ueno railway station in Tokyo. “Now to you that may be litter but to the owner it could be lost property.” (TIMES ONLINE、March 09, 2006)

 

この日本人のモノ忘れの多さ、そして返還率の高さは、上記二つのタイム(米週刊誌タイムと、英紙ザ・タイム)の記事を総合すると、伝統と教育、そして豊かさと厳格な法律という四つの均衡点に今の日本があるかのような説明がなされています。法律とは、通称「遺失物法」と言われ、戦後ほとんどいじられることのなかったものです。ところが、最近、改正案が国会に提出され、ニュースになっていましたね。

 

落とし物の情報をネット公開へ、警察庁が法改正提言
警察庁は17日、拾得物に関する情報をインターネットで住民に公表することなどを盛り込んだ遺失物法案の提言を公開した。警察庁が設置した民間有識者による「遺失物行政研究会」がまとめた。法案は3月7日に国会に提出しており、現在審議中だ。法制化の目処は未定という。遺失物の取り扱いは、昭和33年改正の遺失物法に基づいて行なっているが、現行法では、路上や交通機関、施設などにおける拾得物は警察署単位で取り扱われている。そのため、遺失場所がわからなかったり、遺失と拾得の届出先が異なる場合には発見することが困難だった。
 今回提言された遺失物法案は、都道府県内の拾得物に関する情報を警察庁が集約し、各都道府県ごとにインターネットで公表する仕組みを整えるというものだ。これにより住民は、遺失物をネットで検索できるようになる。これに伴い、遺失物の所有権移転期間を現行の6カ月から3カ月に短縮し、保管費用の削減を図る。大量・安価な物件や高額の保管費用を要する物件については、警察に届けられてから2週間以内に返還できない時は売却などの処分を可能にするという。 (Internet Watch、2006年04月20日)

 

遺失物法改正をめぐって忘れてはならない点は、従来、「遺失物」として扱われてきた犬猫の問題です。何と、遺失物であったがゆえに、警察は、迷子になった彼らを保護してきたという現実があるのだそうです。傘や財布、携帯電話なら、預かり期間が長引いてもそれほど大きな問題ではありませんが、生き物が相手になってしまうとそうはいきませんね。これだけペットの数が増えてくると、いつまでも、器物扱いではいけないでしょう。ま、僕の場合は、傘や自分のモノに対してもっと愛情をもって接してあげなければならないようです。忘れるなんて、僕の場合には、愛情という点が不足して不均衡になっているのでしょうから。一度、置き忘れてしまった妻に、深く陳謝・・。

 

◆ サソリのマークさん 「ガードマン日記」
“(改正前の法では)拾得者や警察などは、・・「善良な管理者としての注意」を尽くして保管しなければならない”。・・善意の管理ではなく、役割としての管理だったわけですね。確かに、変な落し物が増えた昨今は、ツライですね(笑)。

◆ kira-ism 「警視庁が遺失物情報をインターネットで公開する法案を提出」
“インターネットが社会のインフラとしてほぼ充分に行き渡ったところなので、いい判断だと思う”。・・僕にとってはどんだけ助かるか(笑)。

◆ キャンプ猫GAVI 「みんな迷子札つけないと大変だよ!」
“(犬猫は)遺失物じゃなくなるとそのまま保健所の管轄になっちゃう”。・・つまり、地域によってはあっという間に殺されちゃうこともある、んだそうです。怖いですね〜。

◆ Pet Lovers Only♪「遺失物法改正」
“動物取扱業の登録事務に係る・・(京都府)の説明会に、早速行ってまいりました”。・・迫真のやりとり?興味深く読ませてもらいました。

 

 

Posted by cancheer 01:50 AM | 固定リンク
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COMMENT

Gaviさん、

僕にはペットも子供もまだいませんが、自分以外の大切なものの存在を知れば、もっともっと今の問題の深刻さが分かるんでしょうね。

Posted by: cancheer: May 30, 2006 04:22 PM

はじめましてm(_ _)m
キャンプ好きの三毛猫のGaviと申します。TBありがとうございました♪
遺失"物"じゃなくなるってことなので、もっと人道的な扱いを受けるかと思ったら大間違いでした。
なんか、1年に、大阪、約6000頭、神奈川約3000頭の犬が警察に届けられてるらしいです。それがどうなるかと思うと・・・
記事にしてくれてありがとうございます。

Posted by: Gavi: May 29, 2006 11:52 PM

AQさん、サソリのマークさん、

落し物と言っても、そこには色んなドラマがあることをあらためて痛感します。ましてやそれが、ペットだとしたら大変なことです。ただ、一方で、税金による負担面も見逃せません。しっかりした人がうっかりした人を支える仕組みですから。「自己責任」社会を強いられる以上、僕も、そろそろちゃんとしなければならないんでしょうね〜☆

Posted by: cancheer: May 28, 2006 12:49 PM

初めまして。
相互TB、どうも、有難うございます。

遺失物にまつわるエピソード、色々と有るでしょうね。

Posted by: サソリのマーク: May 28, 2006 10:20 AM

トラックバックありがとうございました。(^^)
初めまして、Pet Lovers Only♪ の AQ と申します。

この話しをもっと掘り下げようと、質問ガンガンするつもりだったんですが、
途中で保健所の職員さんの別の意味での困惑の表情に、逆に同情してしまいました。^^;
" 法 " は国民の意見を尊重して作り上げるものではなかったんですね ・・・。(-_-;)

Posted by: AQ: May 28, 2006 03:01 AM
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