cancheerの考え方
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ダ・ヴィンチ・コードは事実から創作へ?

日付

2006.04.30

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いよいよ興奮高まる、映画『ダビンチコード』の公開が近づいています。小説で読んだ方もたくさんいらっしゃるでしょう。ストーリー自体はフィクションですが、登場団体などの組織名を「すべて事実に基づいている」と著書が記述したことで大きな話題になりました。そのひとつが「オプス・デイ」です。

 

いよいよ興奮高まる、映画『ダビンチコード』の公開です。映画を見るためのページは、
◆ 「サルでも分かるダビンチコードの面白さ」(最新)
・・・実は、この映画。予習もなく行くと、かなり難しいからです。
◆ 「ダ・ヴィンチ・コードは事実から創作へ?」
・・・2005年末に書かれた記事で、著者のサイトなどを紹介。
(以下の記事は、公開直前に書かれたものです。)

映画の予告編が最初に公開されたとき、このサイトでも「満点」だとご紹介したことがあります。事前の期待を十分満たす映像だったからです。もともと私自身が、英語と日本語の原書を読み終えてとても興奮していましたし、監督も、私の大好きなロン・ハワード監督だったことが大きいでしょう。おまけに、主演のトムハンクスは、私が選ぶ映画ベスト5で二作品(“The Polar Express”, “Forrest Gump”)の主人公でもあります。したがって、今回も彼への期待は特大です。たとえ、姉歯さん的なカツラのような髪型で、違和感を覚えたとしても、です。

 

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もちろん、内容を詳細に書くわけにはいきませんが、物語は最初から、あるキリスト教団体の存在を浮かび上がらせます。それが《オプス・デイ》です。『ダ・ヴィンチ・コード』では、影響力のある超保守的ローマ・カトリックの一派とされ、肉体修行を特色とする(a powerful, ultraconservative Roman Catholic faction riddled with sadomasochistic ritual)などと紹介されています。同小説の大ヒット、映画公開を受けて、困ったのは彼らオプス・デイの人々であり、また、その他キリスト教団体も相当の反発を表明しています。タイム誌は、彼らへの直接の取材を敢行しました。

 

THE WAYS OF OPUS DEI
Opus Dei is not a kind of spiritual pick-me-up for casual Catholics. It features a small, committed membership (85,500 worldwide and a mere 3,000 in the U.S.), many of whom come from pious families and are prepared to embrace unpopular church teachings such as its birth-control ban. Members take part in a rigorous course of spiritual "formation" stressing church doctrine and contemplation plus Escriva's (who founded the Opus Dei in 1928) philosophy of work and personal holiness. Opus' core is its "numeraries," the 20% who, despite remaining lay, pledge celibacy, live together in one of about 1,700 sex-segregated "centers" and extend their training to a degree rivaling a priest's--all while holding day jobs, with most of their pay devolving to the group.
(TIME、Apr. 24, 2006)


オプス・デイ自体は小さな組織です。会員は世界を見渡しても85,500人。米国でさえ、3000人しかいません。厳しい教義のもとでの活動が求められます。その多くは公にされていません。タイム誌の記事は、オプス・デイへの疑問、たとえば、「どんな人がそこにはいますか」「秘密をどう守っていますか」「どれくらいの財力や影響力をもっていますか」「会員は自身にムチを打つのですか」「マインドコントロールを強いているという噂は本当ですか」「彼らの将来はどうなっていきますか」などなど、非常に興味深い質問が挙げられています。そもそも、今回の映画化によって、彼らは誤解が広がることを恐れ、明確に反対する声明を出しています。

 

映画「ダ・ヴィンチ・コード」に対して・・《オプス・デイ》
 Sony Pictures製作の映画ダ・ヴィンチ・コードが5月に封切りされることを控え・・多くの方にとっては、カトリック教会の一組織であるオプス・デイという名前を聞くのは初めてであり、どんな組織であるのかと疑問に思われた方もあったことでしょう。それゆえ、オプス・デイを知りたい方に正確な情報を提供する用意があること、小説ダ・ヴィンチ・コードが描くオプス・デイの姿とは無関係であることをお伝えする必要があると考えました。・・
 ご存じのように、小説ダ・ヴィンチ・コードは、カトリック教会とその創設者イエス・キリストを、荒唐無稽な姿で描いており、キリスト者の宗教的信条を傷つけています。・・この小説は、現実と虚高ないまぜであり、どこまでが事実で、どこからが空想なのか区別できません。従って、カトリック教会の歴史をあまりご存じない読者が、誤った結論に導かれ、カトリック教会への共感を感じなくなるおそれもあるでしょう。 (オプス・デイ広報室、2006年4月6日)

 

同声明文は、内心の怒りを比較的抑え、大人としての表現に徹しており、一読されることをお薦めします。その上で、映画は映画として楽しみ、事実に興味のある方はみずからお調べになるのがよろしかろうと思います。幸い、賛否両論、関連本にも事欠きません。ただ、私は歴史学出身なので、敢えて言えば、人の思惑の積み重ねで歴史が作られてきたのは当然のことなのだろうと思います。したがって、神の概念がどうであろうが、あるいは神を信仰することの意義がどこにあろうとも、なぜ、このような宗教が成立し、なぜ、人々の厚い信仰を集めたのか、そこには、誰がどのように関与したのか。こうした疑問をひとつずつ解消しようとして「無理をする」と、『ダ・ヴィンチ・コード』のような面白い物語に結実するのでしょう。

 

ただ、いずれにしても、名画に秘められた謎なんていうことは、実際にあったと思いますし、それが当時も、今日も、話題になっているのは、人間の性なんだろうと、つくづく感じます。

 

◆ どいつぱりプらぷら 「パリからブログ更新中♪」
“ダ・ヴィンチコードツアーの計画を練った・・、いざ出発〜〜♪”。・・写真付きで物語の舞台を紹介してくれています。

◆ 世に倦む日日 『ダ・ヴィンチ・コード』
“ 文章に奥行きと味わいがない。小説と言うよりも映画の原作のドラフト”。・・この方の文章は本当に面白い。さすが、有名なサイトです。内容については、映画観賞・小説読破後にご覧になったほうがいいと思います。

◆ カプチーノを飲むあいだ
“ 都内にいくことがあったので、ダヴィンチコード展を見てきました”。・・このように映画がきっかけになって、色々と調べておられる方が増えるのはいいことですね。

◆ 赤いサムライ 「ダ・ヴィンチコードの盗作疑惑」
“その判決では作者のダン・ブラウンさん側の勝利・・裁判官のスミスさんの判決文が話題となっているようです”。・・話題がエンタメ化しているのも滑稽ですよね。

 

そうそう、作者ダン・ブラウン氏と言えば、なかなかのハンサムでも知られていますが、そんな彼の偉大な著書が盗作疑惑で訴えられたという事件もありました。事実曲解やら、宗教冒涜やら、挙句の果てには盗作捏造やら、売れっ子の言われようは大変です。観る人がすべてエンターテイメントだと決め込んでいれば、何の問題もないんでしょうけど、ね。さて、その判決は、無事、「無罪」。ところが、今度は、その判決文に裁判官が暗号を仕込んだとの噂が流れました。やれやれ・・マスコミは何かとバカだなと思いきや、事実だったみたいです(笑)。僕がバカでした。

 

「ダ・ヴィンチ・コード」盗作裁判、判決文も暗号入り
 世界的ベストセラー小説「ダ・ヴィンチ・コード」が盗作かどうかをめぐる裁判を担当した裁判官がさる7日出した判決文に、独自の暗号を組み込んでいたことがわかった。
 判決を出したのは、ロンドン高等法院のピーター・スミス裁判官(53)。判決文全71ページの各所に不規則な斜体文字がちりばめられ、最初の段落からは「スミシー・コード(スミスの暗号)」の単語が解読できるという。28日付英紙ガーディアンは、この暗号を最初に発見、解読した弁護士の話を掲載。弁護士は「原作に出てくる暗号解読と同じ数列を使って解いた」としている。
 スミス裁判官は28日、「暗号は判決内容とは無関係で、楽しみのために作った」との談話を発表。解読すると、裁判官が尊敬する英海軍の英雄ジョン・フィッシャー提督に関する文言が出てくるという。 (読売新聞、2006年4月29日)

 

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どうでもいいことですが、ダン・ブラウンの中国語名は、「丹・布朗」です。
「ダ・ヴィンチ・コード」は「達・芬奇密碼」。中国語の特設サイトへ。

 

Posted by cancheer 04:37 AM | 固定リンク
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Posted at 2006.05.19 00:17
COMMENT

きりんじんべ〜さん。

あれだけ面白く書くのも、作るのも大変ですよね。僕も現地に行ったことがないので、あのコンテンツはとても楽しかったです。

Posted by: cancheer: April 30, 2006 01:45 PM

こんにちは!きりんじんべ〜です♪
私のブログを紹介してくださりありがとうございます。ビックリしました。テキトーに練ったツアーだったので、もしかしたらちょっと間違っている部分もあるかもしれません。

もうちょっとストーリーに出てくる場面の写真を細かく紹介したかったのですが、フォトアルバムにもいくつか載せてありますのでもし興味があればぜひみてみてください。

私は高校がキリスト教で、聖書の授業があったので、この本はさらに興味深く、ほんとに一気に読んでしまいました。ダン・ブラウンの知識とそれを用いてこの物語を作った彼はすごいですね。

映画公開まであともう少しですね。とても楽しみです。

Posted by: きりんじんべ〜: April 30, 2006 05:58 AM
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