cancheerの考え方
タイトル

<10>覆面調査

日付

2005.09.27

マーケティングと名のつく部署なら、ほぼ間違いなく、アンケートという作業を行います。やり方は色々でしょう。用紙への記入、メールでの返答、あるいは偏見のない方々をお招きしてのグループインタビューなどです。


この連載がお届けするのは、行き詰まりかけた事業
ペンスタイル辞書の復活をかけた実話です。 (^^;)


ただ、調査ですから、お金をどこまでかけていいかは会社に寄ります。書面によるアンケート調査は、手間やお金がとてもかかります。特に、マーケティングポイント(売れていくためのヒントはどこにあるか)を見出すような調査目的では、ありきたりな質問をしても意味がありません。何かをえぐり出すための鋭い、かつ客観的な調査でなければならないのです。大手メーカーの電子辞書と比べれば、さすがに「クイックショナリー」程度で大げさなことはできませんでした。


僕は、やむを得ず、超主観的な判断で行うことにします。
覆面監視と対面試用です。


まずは電器店に行ってみました。
通販を中心に販売している「クイックショナリー」は、一度は触ってみたいというお客様がかなりいらっしゃいます。その方のために、都内では、大型店を中心に店頭展示を行っているのです。その一店舗に向かったのです。

覆面調査とは、決して何かかぶりものをしているわけではありません。f(^^;) 電子辞書コーナーを物色しているお客さんの後ろのほうで、商品を検討されている様子を観察し、店員の反応を見ていました。


「あの、ペンのカタチをした電子辞書ってありましたよね。」


おっと。早速、指名だ。僕は小躍りしたい衝動を抑え、そのお客様の脇に立ちました。これなら会話のやりとりまで自然に、はっきりと聞こえます。店員はまもなく、ペンスタイルの電子辞書を取り出しました。そして他とは異なるその形状をシゲシゲと眺めつつ、お客様にお渡ししていました。おそらくご本人も使ったことがないのでしょう。

案の定、お客様はうまく引けません。そこで店員は次の一手を差し伸べます。ところが、それは「クイックショナリー」の擁護ではありませんでした。逆に、他の電子辞書の説明を示して、お客様を売場から手放さないようにするためです。


「これ(ペンスタイル)では、辞書の数がありませんので、こちら(キーボードタイプ)なんてすごいですよ。」


そりゃそうだ。僕だってそうするよ。
休日、複数の電器店を回ってみましたが、展示されている「クイックショナリー」に初めて気付いて触る人は半分もおらず、むしろ、どこかで見た記憶を頼りに、この商品を手にする人のほうが多かったようです。しかも、うまく引けた人は一人もいませんでした。そして最大の不幸は、店員が褒めてくれたり、引き方の見本を示してくれた例は一度もなかったことです。


15秒。電器店で触ってくれた人の忍耐時間の平均でした。
さみしそうな「クイックショナリー」です。






Posted by cancheer 10:52 AM | 固定リンク
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