cancheerの考え方
タイトル

<11>対面試用での発見

日付

2005.09.28

対面販売という言葉があります。デパートで化粧品を販売しているプロスタッフのように、顧客一人ひとりにあった商品を紹介するやり方です。今どき、高コスト要因との見方もありますが、ウェブの世界では大変重視されている考え方です。


この連載がお届けするのは、行き詰まりかけた事業
ペンスタイル辞書の復活をかけた実話です。 (^^;)


ウェブの世界での対面販売は、ワントゥワンマーケティングと言います。この言葉であれば、聞かれたことがあるでしょう。


しかし、「クイックショナリー」のような電子辞書製品に、対面販売とは成り立つのでしょうか。そもそも分からない単語の意味を調べるというだけのことです。化粧品のように、顧客の肌質によって、その種類や塗り方をきめ細かく変えるという必要はないでしょう。


単純に考えれば電子辞書とは、
1)高品質なものを廉価に提供する量産量販商品
2)ニーズに合わせた辞書データの品揃えで競争
3)ケースや着せ替えなどの工夫をして個性派の模索
という順番で、検討されている商品のはずです。

だから、対面販売というのはもってのほかでした。


僕は内心、ひとつの仮説を置いていました。もしかしたら、この商品は、対面販売商品ではないか。それを確かめるために、対面試用という実験を行ってみよう。私は、その目標を100名と設定しました。私が出会った、知り会った方々に、ある順番で「クイックショナリー」をお見せします。そして使ってもらいます。こちらの質問やアクションに対し、彼らがどのような反応を示すか。それを観察することで、この商品の課題を抽出しようと考えてみました。

しかし、結果はさんざんでした。


ちなみに、対面試用のシーンでは、僕は、腰あたりに挿していたペンスタイル辞書をさっと刀を抜くように取り出します。


「そうそう、そう言えばさぁ、これ!!・・・」


たいていの人はキョトンとしています。
ペンのようで少し太め、電気製品のようで先端の曲がりがやや大きめ。僕が約50人にお見せしたうち、16人しかご存知の方はいませんでした。これは、社内の人間にとっても大変意外な数字です。通販で三年以上も紹介され続けているこのロングセラーは、まさに見飽きた感のある商品です。ところが、わずか1/3しか認知していない。僕の知り合いや出会った方が変人ばかりなのでしょうか。そんなばかな!って感じでした。


僕が「クイックショナリー」を差し出す前に、彼らはすぐ手を伸ばそうとします。これもこの商品の特徴です。手になじむような形状が、初対面という警戒心よりも、稀少品に対する好奇心を引き起こしているようでした

ところが、正しく握れた人はほんのわずかでした。大半の人は恐々と、上からつまみました。その姿勢ではひじが上方にあがってしまうため、手の先がわずかに震えてしまいます。つまり、この姿勢で文字をなぞろうと思っても、おそらく真っ直ぐなぞれなくなってしまうのです。


また、この商品を「なぞるだけの電子辞書」だと説明すると、半数の25名が興味を示し、前のめりになってこの商品をのぞきこんでくれました。(ただし、20名は何があっても買わないとのこと。)

お客様は、通常、三つの誤解をしてしまうようです。この商品の宣伝文句にある通り、一行をなぞれるとの文言があると、(当たり前ですが)一行を引いてみたくなるのです。一行全体を真っ直ぐに引くのは意外と大変でして、すぐに上へ下へと歪んでやり直しになってしまいます。また。複数の単語を認識するのですから、読み出しに時間がかかります。さらにお客様を失望させてしまうのが、一行をなぞれる=翻訳機だと勝手に思い込ませている点です。


このように、せっかく興味をもつ方々がいらっしゃるのに、触ってみてすぐマイナスの印象をもたれてしまうのです。



ネットでの書き込みでも、せっかく「クイックショナリー」を買ってくださったのに使えないままの方がいらっしゃって、本当に申し訳ないです。僕自身が悪戦苦闘して見出した方法を知ってもらうとともに、さらに、ホンモノで学ぶ英語の学習方法などとの関連でも、ぜひ後日の連載で付記してみたいと思います。



先に結論を申し上げておきましょう。
対面試用を何度か繰り返してみた結果、私が見出した結論は、まさに私の仮説の通り(この商品は対面販売型)だったのです。試用者側の使用上のクセを見抜き、修正してあげた後、さらにその方の語学力と学習目的に添った「クイックショナリー」の使い方を示してあげる。そこまでやらないと、購入にまでつながってくれないのです。


さて、化粧品の対面販売で有名なノエビアが、ブログでの対面営業を始めたそうです。クイックショナリーも、売ってもらおうかな〜?



Posted by cancheer 08:34 AM | 固定リンク
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