cancheerの考え方
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二大政党制の言いだしっぺ、小沢氏

日付

2006.04.24

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直近のニュースで、民主党勝利の一報が飛び込んできました。千葉補選の結果ですね。投票率の低迷が気になりますが、民主党はメール問題の大失態を乗り越え始めたようです。民主党の小沢新代表就任は、世界的には、日本の低迷野党党首の交代劇にすぎないはずです。ところが、タイム誌は一頁を割きました。

 

民主・太田氏、接戦を制す・衆院千葉7区補選
 自民、民主両党の事実上の一騎打ちとなった衆院千葉7区補欠選挙は23日投票、即日開票された。民主公認の太田和美氏(26)が自民公認の斎藤健氏(46)=公明推薦=との接戦を制し、初当選を果たした。小沢一郎民主党代表は初の国政選挙で勝利を収め、党再建を急ぐ民主に追い風となる。政府・与党には後半国会や来年の参院選に向けた警戒感が強まった。
 投票率は49.63%で、昨年9月の衆院選(64.75%)を15.12ポイント下回った。初陣を白星で飾った小沢氏は、偽メール問題の混乱で信用失墜した党の立て直しに足がかりを築いた・・ (NIKKEI NET、2006年4月23日)

 



小沢氏を、外観やプレゼン力などで適任と言えるかどうか、判断の分かれるところでしょう。しかし、これで、党内亀裂の憶測を二流紙に書きたてられることも少なくなるはずです。かつて、岡田氏が党首になっても、前原氏がなっても、つねに小沢氏の動向が、「静観の構え」とか、「距離を置く」などという分裂含みで報じられていました。また、代表代行に菅氏が就任したことも、党の結束を印象づけました。前原体制のメンバーを残留させたことも見事だったと思います。

 



小沢氏と言えば、『日本改造計画』を93年に著し、学生だった僕も読みました。その印象は、感動したというより、政治家らしい絵空事に思えました。特に、経済大国に相応しい国際貢献という美名のもとでの、「国連待機軍」構想には違和感があったことを思い出します。まあ、それでも、彼の考え方には決して否定的ではありませんでした。むしろ当時の僕は、なぜ、小沢氏の書いたようなことが、すぐに実現しないのか、不思議で仕方なかったのです。あれから20年。同書に書かれたことの多くが、実現しつつあります。

 

Get This Party Started
Once an LDP member himself, Ozawa's 37 years in national politics demonstrate that he is a survivor. He has reigned for years as one of the country's most prominent political outsiders. In 1993, he engineered the formation of the only non-LDP government in Japan's postwar history (though it crumbled in less than a year). In 1993, he wrote Blueprint for a New Japan, a book espousing the "normal nation" theory―now very much in vogue―asserting that Japan needs to develop the political, military and diplomatic power commensurate with its economic might in order to become a global leader.・・
(TIME、Apr. 17, 2006)

 

タイム誌は一頁を使って、小沢党首就任を報じています。彼は、37年間の政治家人生の中で、自民党内での異例の出世、そして同党を割っての政界再編を仕掛け、さらには常に、時の政権に影響を与え続けた存在として、まさしく突出した存在感をもっていました。そんな小沢氏には、タイム誌も書いている通り、党内融和やその継続ということ以上のものが求められています(Ozawa has more serious work to do than maintain unity and continuity)。

 

Now it's up to the DPJ to undertake a similar transformation, rebuilding itself from the ground up. Ozawa needs to strengthen the party media machine, assemble large and vocal grassroots support organizations and nurture third-party advocacy programs that reinforce the DPJ's own programs and policies. (TIME、同上)

 

小泉総理がやったように、自民党を変え、小さな政府へと舵を切った。それくらいの対抗軸が必要なはずです。民主党は一貫したマニフェストを作り上げているのですから、あとは、それらを、小沢氏が主張する国家像として、表現し直してもらいたいと思います。小沢氏の考え方を知るには、自身の公式サイト、特に、夕刊フジへの連載コラムで書きまくった内容が、参考になります。

 

小沢氏の論調で印象的なのは、小泉総理の改革は茶番で、むしろ官僚政治の傾向を強める結果を招いたと手厳しい批判をしている点です。ただ、言葉にすると、二人の改革内容にそれほどの違いは感じません。頭ごなしに「自民党=利権、だからダメだ」と唱える小沢氏。そして小さな政府作りに邁進する小泉改革。僕の意見は瑣末的なので、ひとつに絞って懸念を申し上げるなら、今の日本のナショナリズムをこれ以上強める方向にはもっていかないでほしいという願い。政治家にとって人気取りにつながる「国家」云々という議論は、聞いていて非常に頼もしく見えるのも事実ですが、郷土や国を愛するのに、仮想的な敵を設けたり、他を見下したり、わざわざそれを鼓舞するようなパフォーマンスや制度を設けられてしまうのは辟易します。そんなことをされなくても、僕は、日本が好きだし、今日の社会を築き上げてくれた先輩方を尊敬しています。中国人・韓国人が愛国心剥き出しに日本を批判するなら、それでも同じ隣国としてやっていこうねと、笑顔で手を差し伸べるくらいの心の余裕を持ち続けたいものです。小沢新党首との切磋琢磨で、この国の政治はどこに向かって加速するのでしょうか。

 

◆ 時事徒然草「愚書がなぜ売れる?」
“『日本改造計画』が8年ぶりに復刻される・・小沢氏のジャイアン張りの強引な論理があるだけ”。・・厳しいご意見です。本当に、なぜ、売れたんでしょうか。僕も知りたい。

◆ 「30歳で勝負!塾人の起業日記」
“ 最も共感できるところは、「政権交代がいつでも可能な政治体制の大切さ」です”。・・僕も同感です。そのために、小選挙区制度への政治改革は、小沢さん(細川政権時代)の最大の成果だと思います。

◆ 先哲有言「小沢民主党の前途」
“今後の自民と民主の対立は、均衡財政と積極財政という軸となる”。・・この見方は大変面白いです。都市型政党の自民党と、むしろ地方分権や温和な改革と称して地方の支持を得る民主党。そうした構図はありえます。

 

 

 

Posted by cancheer 02:12 AM | 固定リンク
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小沢民主党の前途
民主党の新代表に小沢一郎氏が選ばれた。 以前の記事でそれは予想していたことであり
「先哲有言」のサイトから
Posted at 2006.04.24 08:32
COMMENT

先哲有言さんの記事にある通り、「靖国」問題も小泉さんと小沢さんとの政治姿勢を見る上での大きな論点です。こちらもとても参考になりました。国家の経営者であるべきと考える僕の政治家像と、国益を踏み台にして自尊心の高揚を図ろうとする現在の政治リーダーの方々とが、どんどん乖離していくような懸念を覚えてしまいます。

Posted by: cancheer: April 24, 2006 09:07 AM

TB有難うございました。
的確なまとめをつけての記事のご紹介に、大変嬉しく思っております。
私も「夜明け前」さん同様、政治家がナショナリズムに訴えることには、危惧を感じます。ナショナリズムを為政者が国民に訴えるのは、何らかの政治上の意図を持って、支持を調達するために行うものです。しかし、その意図が成功したとしても、後の世代がコントロールできる程度のものでないと危険です。為政者には、その自覚を持っていただきたいものです。

Posted by: 先哲有言: April 24, 2006 08:47 AM
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