cancheerの考え方
タイトル

「世界、ちょいびき!」終了

日付

2006.04.02


英語学習版の『世界、ちょいびき!』は終了になりました。約一年近く、精魂こめてやってきた試みも、なかなか続かないものです。スポンサーの意向でひと区切りをつけるということですから、何の異論もありませんが、僕自身がやり甲斐を感じたものは何だったのでしょう。

 

『世界、ちょいびき!』というタイトルは、スポンサーの商品を売るために考え出した言葉ですが、もうひとつ別の意味をこめていました。それは、世界をちょいとのぞいてみる。できれば、さらに調べてみる、です。辞書を引くという意味と掛けて、「ちょいと引いてみる」、つまり「ちょいびき」になりました。世界のことを、いま一歩、深く理解してほしいとの願いをこめています。



もともと僕が世界に関心を持ち始めたのは、小学生の頃でした。漫画『世界の歴史』全巻を買ったのがきっかけでした。言葉が違う、文化が違う、住んでいる地域の環境も気候もまったく違う。しかも、そのすべてが、様々な歴史的背景を負っている。


その、世界が「違う」という印象が変化したのは、大学生の頃でした。実家を離れての下宿生活。そこは、なんと、ミニアジアでした。住んでいる日本人はわずか二人。他は、中国、マレーシア、ベトナム、韓国、インドネシアからの留学生でした。地域では一番安価なアパートだったからです。


もし、僕が表面的なお付き合いだけだったら、あいつは韓国人だとか、ベトナム人だとか、色眼鏡で見ていたかもしれません。幸い、留学生たちはとても優秀な方々で、日本語も堪能でしたから、僕とはすっかり仲良くなりました。おかげで、その四年間に僕が得た感想は、人間みな「同じ」ということでした。悩みも、喜びも、怒りも、悲しみも、見事なまでに同じ。


たとえば世間には一部、逆の傾向があります。最初から外国の人を「あいつらは・・」なんて偏見むき出しで警戒し、それでいて「同じ」ルール、いわゆる日本人の価値観を押し付けようとする人がいます。違う人間だけど、同じルールを適用する・・僕には、そんな風に見えて仕方ありません。


「同じ」人間だけど、「違い」があれば許容し合う・・。これが僕の考え方の基本です。『世界、ちょいびき!』に掲載した記事は、多分に、その考え方を反映させていました。


『世界、ちょいびき!』が引用していたのは、世界のメディアです。せっかくのインターネット時代ですから、世界の情報や視点を英語で拾ってみようという主旨でした。単なる和訳ではなく、元の情報源をヒントに、各テーマを整理することにしました。たとえば、イスラム対欧州の構図を鮮明にした風刺画問題では、欧州の表現の自由に対する信念と、イスラム側の本音や怒りの根拠を、それぞれお伝えしました。また、それを第三者的に心配して見ている日本の意見もご紹介しています。







「同じ」人間だからきっと、同じ状況に置かれれば、同じ気持ちになるに違いない。僕はそう考えています。だから、できる限り偏見なく、状況を理解することが大事なんです。つまり、状況の「違い」ですね。僕が、志望した学問「国際関係論」に通じるところが多分にあると思います。


したがって、英語学習者を後押しすることが使命のこのサイトは、世界の人々や事象とどう向き合うかを、テーマに掲げました。今のところ、英語を学んでいる最中の人に、実際の国際的なテーマで考えてもらうというサイトは、なかなかなかったからです。


英語に限りませんが、外国語を学ぶ日本人は増えています。語学を学ぶ環境として、日本は、あまりいいとは言えませんが、それでも才能豊かな人の多さを感じます。ただ、残念なのは、安易な「TOEICブーム」です。第三者機関による能力判定は非常に重要なことですが、このブームは、外国語を学ぶことの本質を歪めてしまいます。TOEICの高得点こそが最大の目的という人が増え、点数獲りテクニックが話題になります。そして人を評価するのが仕事の(たとえば企業の人事)担当者も、点数で足切りという手抜きができます。


「点数さえあれば、多くのところで評価されますよ。ボンクラな人事担当者さえごまかして採用されれば、後はこっちのものです。生真面目は損ですよ」、とはある後輩のひと言です。口では人物本位という企業でも、彼は「サラリーマン人事担当者」の実情をよく見透かしています(笑)。



話を戻しますが、外国語学習では本当に重要なことが見逃されがちです。海外で、外国語を使ってコミュニケーションをするには、何が必要か。それを学び、考えるにはどうすべきか。ぜひ、心の隅に留めておいてもらいたいと思います。僕も、海外で悪戦苦闘しながら、考え抜いてきたテーマです。僕自身はまだまだ未熟ですが、国際コミュニケーションについては、多くの人が本に書いてくれています。とってもタメになります。


『世界、ちょいびき!』はその可能性の入口にしか立てませんでしたが、ますます意義を感じるコンセプトだと実感しました。また機会を見つけて、この「国際関係論」をテーマにしたサイトを起案したいと思います。


   

『世界、ちょいびき!』の運営は、多くの方々の協力や賛同を得て、初めて可能になったものです。心から感謝を申し上げるとともに、また、近いうちに、新しい形態で、同様のコンセプトに挑戦してみたいと思います。本当に、ありがとうございました。


 

Posted by cancheer 11:08 PM | 固定リンク
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