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100年前を振り返る、大地震の記録と記憶

日付

2006.04.18

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阪神大震災の当時、僕は、中国・内陸部の、しかも電話すらない田舎のホテルに泊まっていました。午後、何気なくテレビのあるロビーを横切ると、従業員を含めた数人がその前で何やら騒いでいました。僕は、遠目で画面に目をやり、腰が折れそうになりました。そこには、「日本壊滅」の文字が躍っていたのです。

 

関西の地には、僕の両親も、親友もいて、背筋の凍る思いだったのを今でもはっきり覚えています。幸い、誰ひとり、身近で死んだ人はいませんでしたが、日本全体が大きなショックを受けたのは間違いありません。実は、今日、4月18日、同じ地震で、大勢の方が亡くなった日でもあります。ちょうど、一世紀も前の出来事です。

 

April 18, 1906 Lessons from the EARTHQUAKE That Shook the World
bystanders reported, and fields undulated "like the waves of an ocean." Buildings swayed, clocks stopped, church bells rang, water mains burst, gas lines broke, electrical wires snapped and sparked. Then came the flames, which for three days burned out of control as firefighters stood helplessly by.
Today, 100 years later, the damage that resulted from the great quake seems nearly as shocking as it did then: some 28,000 buildings destroyed, more than 3,000 people killed, at least 225,000 more--roughly half the population of the city of San Francisco at the time--left homeless. (TIME、Apr. 10, 2006)

 

100年前、僕が英語を学んだ地、サンフランシスコは米国史上最大とも言える大災害に見舞われていました。タイム誌は、当時、居合わせた人々の声を紹介しています。揺れる建造物、停止した時計、鳴り響く鐘、破裂する水道管、断絶するガス管、切れて火花を散らす電線・・まさに、日本人が目にしたことのある光景です。崩壊した建物は28,000棟、死亡者は3,000人、人口の半数225,000人は住む家を失いました。100年前の4月18日とは、まさに、日本にとっての「阪神・淡路大震災」(1月17日)を振り返る日と同じ位置づけです。

 

上記の写真は、SRTM, JPL, NASAによって日々更新されている膨大な画像集です。地球表面に亀裂が入っているのですが、これは、1906年のサンフランシスコ大地震を引き起こした断層(San Andreas Fault)なのです。その後の調べで分かったことは、この断層が、同市を含むベイエリアを真っ二つに縦断していることです。太平洋側のプレートが北へ、内陸側のプレートが南へと、一年に約5cm動きます。両者のズレを修正しようと過大な力が働いたとき、地震が発生するのです。科学者のたとえ話がタイム誌に紹介されています。

 

"It's sort of like being in a bathtub filled with water・・When you start splashing, the waves keep bouncing up and down and from side to side."

バスタブいっぱいの水で、ひとたび水をはじいてしまうと、波が次々と跳ね上がってしまいます。まさに、ここでの地震は、このような状況を招くとの見解が出ているのです。100年前に比べ、ベイエリアの人口規模は、シリコンバレーのサンノゼなどを加え、9倍近くに膨れ上がっています。おおよそ、700万人です。もし、再び大地震になり、当時と同じ比率で死者が出たと計算すると、26,000人以上になります。阪神・淡路大震災の4倍の規模です。また、同地は全米屈指の経済地域でもありますから、その壊滅する影響が世界に波及するのは必至です。もっと悲惨なのは、そのような事態を招く地震の発生確率は、何と、62%。2032年までに、かなりの確率で、マグニチュード6.7以上の大地震が発生するのだそうです。

 

米科学者ら、3Dモデルで百年前のサンフランシスコ大地震を再現--次の地震被害を予測へ
 100年前に壊滅的被害をもたらしたサンフランシスコ大地震の再現モデルを手がかりに、科学者たちは次にサンフランシスコ湾岸地域で地震が起きたとき、地表がどのような振る舞いを見せるかを解き明かそうとしている。1906年に起きたサンフランシスコ大地震100周年を記念する会議を数週間後に控えて、米国地質調査局(United States Geological Survey:USGS)とスタンフォード大学の科学者たちは、100年前にサンフランシスコ湾岸地域を揺るがした地震の3Dシミュレーションから得られたデータを公開した。 (CNET、2006年3月29日)



関東大震災の写真を公開してくださっている方がいます。こちらは大正12年、1923年のことです。サンフランシスコの地震から、17年のちのことでした。このときの死者が10万人を越えるわけですから、その被害規模は桁違いで、地球史上有数の自然災害になりました。今日の東京は、関東大震災の再来とともに、富士山の噴火など、恐怖をあおる災害予測が後を絶ちませんが、サンフランシスコでの科学者たちの対策会合は、僕らにも何らかの刺激を与えてくれそうです。

 

◆ 成田空港物語
“「雨の降る確率は70%です」と言っているのに、「雨は降らない」と言っている者は愚か者です”。・・なるほど。ウチも防災セットを買おうかな?

◆ オモシロくらしの情報源
“ 地震がなぜ起こるのか? 地震の仕組を学びましょう。”。簡潔ですが、要点はきちっと示されています。

◆ コンテナ・ガーデニング
“東海地震説に「間違い」に石橋神戸大学教授反論”。・・僕の尊敬している方は、この地震説で大いに儲けたそうです。自然を予測するのは難しいですね〜。

 

 

PBSの“Predicting Earthquakes”のサイトをご覧ください。世界の強烈な断層がひと目で分かるようになっていますが、日本とアメリカの西海岸は、PACIFIC PLATEの東と西にて、恐ろしい震源地になる危険をはらんでいます。これを見る限り、関西か、関東かなんて話ではなく、日本全体ですね。あやや〜、腰が再びくだけそうです・・。ま、ともかく、気を取り直して何らかの対策だけはしておきましょう。ちなみに、100年前の大地震の記録と記憶を振り返る、PBSのOnline NewsHourの記事が、英語音声とスクリプトで公開されています。英語を学んでいる人にはいいかもしれません。

 

 

Posted by cancheer 07:01 AM | 固定リンク
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