cancheerの考え方
タイトル

ALWAYS三丁目・・を語る「英語」

日付

2005.11.07

映画のタイトルはもちろん、「三丁目の夕日」。「世界一」のタワーが、敗戦の屈辱から立ち上がろうとしている日本の首都に建設されている時代でした。昭和33(1958)年と言えば、戦後からわずか13年しか経っていません。日本が国連に復帰する(1956年)も、冷戦が始まり、国内外がイデオロギーで二分する時代でした。


「本物の英語」がお届けするのは、
映画・雑誌・洋書等のガイダンスです。


ただ、僕が人生の先輩方から聞いた話だと、多くの国民にとってはイデオロギーどころじゃなかったようです。朝鮮特需の反動に翻弄されるほどの脆弱な経済状況にあって、高度成長期が始まるまでの数年はちょっとした混迷期。映画では、青森から集団就職で上京してきた少女の口から、「口減らし」なんていう表現も飛び出すほどです。地方での暮らしは、楽ではなかったようです。


それでも東京はまだマシでした。映画で表現された映像では、すでに、基本となる物資は街にそろっていましたから。(時代考証をきちんと行ったというのですから、映像の通りなのでしょう。)

1950年からの4年間、朝鮮戦争特需に沸いた日本は、いよいよ自律的な経済成長に乗り出します。それが、この映画の舞台なのです。



それではいつもの通り、ホンモノで英語を学ぶ、今回は、日本の戦後史の中で、空白になっている時代を英語で表現した事例で学ぶことにしましょう。



After the end of World War II, Japan's economy was in a shambles,
第二次大戦後、日本の経済は大混乱だった。

and its international economic relations were almost completely disrupted.
世界経済とのつながりもほとんど絶たれたままだ。

Initially, imports were limited to essential food and raw materials,
当初、輸入は制限された、基本的な食糧や資源さえ。

mostly financed by economic assistance from the United States.
ほとんど支給されたのは 経済支援だった アメリカからの。

For much of the 1950s, however, Japan had difficulty exporting as much as it imported,
1950年代のほとんど、日本は難しかった 輸出が 輸入と同じくらい。

leading to chronic trade and current account deficits.
だから、長きにわたり貿易収支・経常収支は赤字だった。

Keeping these deficits under control,
続けていたら この赤字を 制限下で

so that Japan would not be forced to devalue its currency
だから日本は迫られなかっただろう、通貨の切り下げに

under the Bretton Woods System (see Glossary) of fixed exchange rates
ブレトンウッズ体制での 固定為替レートにおいて

that prevailed at the time,
(その体制が)広まっていた 当時は

was a primary concern of government officials.
(通貨の切り下げは)もっとも恐れていたことだ 政府高官が。

Stiff quotas and tariffs on imports were part of the policy response.
厳しい割当と関税が輸入にかせられ、対抗策の一部となっていた。

(以上、photius.com

ちょっと難しい話ですが、資源に乏しい日本が、輸入を自由にできないのでは、今日のような豊かな生活は夢のまた夢です。円が低いレートで固定されていた当時、海外の物資は非常に高価なものでした。しかも、経済的な赤字収支が続いている状態では、外貨そのものが手に入らず、世界から買い物すらできないのです。日本人が自活するためには、燃料や道具など、海外の物資・技術が必要でした。



それでも、人々はたくまくしく立ち上がります。数々の商売が生まれ、地域で助け合い、笑顔のある生活が始まっていたのです。そんな中、国は、国民を鼓舞するシンボルを欲しました。人々に自信を、希望を与え、そして新しい時代のインフラとしての実機能ももつ。それが、東京タワーだったのです。映画では、「三丁目」の物語とともに天に伸びゆくタワーの映像美をご堪能ください。



The Tower is 333 meters tall
塔は333mの高さで

(9 meters taller than the Eiffel Tower, or 33 if the latter's TV Antenna is not included)
9m高い、エッフェル塔より あるいは33m、高いのは、後にできるTVアンテナを含めなければ

making it the world's highest self-supporting iron tower and the tallest structure in Tokyo.
それは 世界で最も高い自立式鉄塔 最も高い建造物 東京では

In the postwar boom of the 1950s, Japan was looking for a monument
戦後の好景気 1950年代、日本が求めたのはシンボル

to symbolize its ascendancy as a global economic powerhouse.
象徴する その勢いを 世界の経済大国として

Looking to the Occident for inspiration,
注目したのは 西半球の 心のよりどころとして

the Tokyo Government decided to erect its own Eiffel Tower.
日本政府が決めたのは建設すること 自身のエッフェル塔を

(以上、Wikipedia




東京タワーの感動的なお話はプロジェクトXでも話題になりましたね。(笑)


主人公のふたり、吉岡秀隆さんと堤真一さんは、お向かいさん。対象的な人物像ですが、吉岡さんは作家としての夢を追って作品を書き続けますが落選の日々、堤さんは明日の自動車メーカーを夢見て、小さな修理工場を立ち上げました。当時の経済的な制約が、この映画の登場人物の運命を縛りつけていましたが、みんな、人間らしい希望と愛情と優しさを持ち合わせていました。


修理工とは言え、自動車という未来産業に従事している堤さん宅は、町内でもいち早く、三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)を手に入れます。テレビが届いた日には、三丁目の人々を招待しての鑑賞会。力道山のチョップに、集まった住民たちは大熱狂しました。


The first TV news relay showed the departure of Crown Prince Akihito (the present Emperor)
最初のテレビニュースの中継があったのは 出発 皇太子アキヒト(現在の天皇陛下)

from the Port of Yokohama on March 30, 1953.
横浜港から 3月30日 1953年のことだった。

・・and his departure came just two months after TV broadcasting began.
出発はわずか二ヵ月後、TV放送が始まって。

In 1959, the betrothal of the Crown Prince to Shoda Michiko, a commoner,
1959年、婚約は皇太子と正田美智子様という一般人との。

sparked the so-called "Michi boom," and
火がついた、いわゆる「ミチコブーム」

generated an eagerness to watch the royal wedding
始まった 熱狂は 見ること ロイヤルウェディングを

that significantly accelerated the spread of TV in Japan.
それで実質的に加速された TVの普及が 日本において。

Coverage on the wedding day was Japan's largest-ever live relay,
報道は 結婚式にて 日本の史上最大のライブ中継となった

mobilizing a total of 100 cameras and 1,000 personnel from both NHK and commercial broadcasting companies.
動員されたのは、合計で100台のカメラと1000人のスタッフ、NHKと民放の双方から。

(以上、NHKが記すテレビの歴史)英語版

この映画の時代は、戦後史の中でもあまり説明されていない期間です。朝鮮戦争と高度成長期との間にはさまれ、国民のエネルギーが静かに蓄積されていた頃です。映画の中で登場するコーラーもまだ「醤油みたい」だと毛嫌いされ、氷屋さんが自転車で町内を回っていました。英語では、“Post-Occupation”と呼ばれ、連合軍の占領“The Allied occupation”が終了した1952年以降の時期を指します。


それから10年もすれば、新幹線が走り(Shinkansen trains begin operation.)、東京オリンピックが開かれます“Olympic Games in Tokyo.”。1964年のことでした。

映画の中では、タイムスリップしたかのような当時の映像が、僕たちの前に広がります。街並みも、家庭の中も、変わりゆく日本の寸前の姿だったような気がします。

この時代を知らない僕らのような世代にとっても、「懐かしい」と思えるのは、日本人としての本能なのでしょうか。




▼この映画についてはいつもの通り、秀逸なブログの記事でご確認ください。今回は、面白いコメントも多かったです。同作品は、僕のお気に入り映画リストにちゃんと加わりました。

「終わってみると観終わった後の余韻がとても心地良い作品」(これ、本当です)
「笑える映画。・・いろんな短いエピソードを入れてるって感じ」()
「丁度、私の母や父の青春時代がこんな感じだったのかなぁーと」(僕の親父は丁稚奉公してる頃)
「2時間13分を全く飽きさせません・・サラウンドが非常に良く」(その時代の中に連れていかれたようでした)
「キャストがかっこよすぎてマンガの雰囲気と全然合わない」(今度、漫画見たい)
「邦画とは思えない程のCGのレベルに驚いた」(CGと実写の見事な融合)
「“誰が見ても懐かしい”、生まれる前の時代だけれど、懐かしい。」(心温まる時代の映像でした)
「映画が始まった途端、昭和33年にタイムスリップ」(確かに、両親のアルバムの中に合った風景)
「今回はドラマのためにVFXがある・・演出家としての成長を実感」(僕は山崎作品は初めて)
「純粋な愛情や情熱が・・新しいエネルギーを産み出して」(あの時代の資産で僕たちは生きてるんですね)
「いつもは買わない映画のパンフレットを、今日は買った。」(あ、忘れてた!)
「母にこの映画のチラシを見せるととても懐かしがっていました」(「あたしの探し物」っていうサイト名がいいです、関係ないか?)
「私が昭和40年から6年間にわたって見なれた、あの懐かしい上野駅」(へえ〜)



Posted by cancheer 01:53 AM | 固定リンク
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