cancheerの考え方
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「県庁の星」も、役人改革も楽しみに

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2005.11.14

久しぶりに小説を読みました。日本語です。『県庁の星』。きっかけは、電車の中で見た中吊りです。「スペリオール」で漫画連載のスタートとあり、その宣伝文句にひかれていました。《前代未聞、抱腹絶倒の娯楽公務員小説》。思わず、そのまま書店へと向かってしまいました。


「本物の英語」がお届けするのは、
映画・雑誌・洋書等のガイダンスです。


僕は、富山にいましたからつくづく感じます。エリートという職業は県内を希望する限り、民間には存在しません(大げさかな?)。県庁です。県内で、もっとも壮麗さを感じる建物に、長期政権を実現した中沖知事がいました。昨年、引退したときには76歳。在任は6期24年。僕は冗談で、「マハティールか、中沖か」なんて言っていました。マハティール首相も、マレーシアを23年間(1981-2003年)統治し、同国のよき時代を率いたリーダーです。

県で働いている友人から聞くと、やはりプライドの高い連中が偉そうな顔をして働いている職場なのだと言います。表面的には腰が低く見えますが、陳情や相談に訪れる企業に対しての高圧的な態度にはそれがうかがえるのだそうです。


『県庁の星』(桂望実・著)。そこでは、エリートを自他ともに認める県庁の若手役人が、最近はやりの民間交流に派遣されます。派遣先は、ど田舎のスーパーだと言います。何万人の職員から選ばれた彼が訪れたスーパーでは、盛大なお出迎えかと思いきゃ、汚い事務所の一角に通され、パートのおばちゃんを教育係に付けられるという有り様。ここから、「抱腹絶倒」の物語は始まります。

小説は、大変、読みやすい文体です。むしろ、最初は、作者の勢いに任せて書いたような文体に、各セリフが誰のものか分かりにくくて戸惑うかもしれません。しかし、途中からは、逆にスピード感をもって物語の世界に入り込むことができます。この先は、末尾に挙げるブログのご意見にお任せします。


映画化も決まり、僕の大好きな俳優、織田裕二の主演が決定しました。すでに撮影もスタートしたらしく、来年の公開が楽しみです。ぜひ、ぜひ、一度、原作を手にとってみてください。

さて、今回の英語学習は、いよいよ本格的な改革に着手することになる“公務員関連”の記事を、『The Japan Times』やその他Webコンテンツから拾ってみました。ひとつでも多くの表現に目を通してみましょう。


まずは少し古い、2003年11月の記事です。


Although Prime Minister Junichiro Koizumi has been calling for change,
確かに、小泉首相が求めている 変化を

in reality, he has been protecting the interests
現実には、守っている 利益を

of government bureaucrats and strengthening their control.
官僚どもの そして強めている彼らの支配を

Taking advantage of Koizumi's protection,
利用しているのは、小泉の後ろ盾

government bureaucrats are abusing the rules and engaging in unethical misconduct.
官僚が悪用する ルールを そして手をそめる 汚い不祥事に

Shukan Post has obtained a confidential document which detailed
週刊ポストが入手した 丸秘書類には詳しく書かれている

all of the misconduct perpetrated by government officials
あらゆる不祥事を 犯したのは役人たち

who received disciplinary punishment from June 2002 to June of this year.
(すでに)受けていた 懲戒処分を 2002年6月から2003年まで。

(以上、Japan today、週刊ポスト英語版記事


公にされないまま処分の決まった悪事が627件もあったという記事。その中には、当然、次のような発言が出てきます。



"I know that there have been many disciplinary punishment cases in government bodies;
「知っています、多くの懲戒処分があったのは、政府の中で。

however, very few of them have been reported by the news media."
しかし、そのほとんどは公にされないのです、ニュースとして。

"There is no rule stipulating that these cases must be publicized.
決まりはありません。義務づけている、これらの事件を公にするようなものは。

It depends on the decision of each government body,"
それは決断次第です、それぞれの政府機関によって。」



う〜む。頭にきますね、二年越しに見ても(笑)。さらに、週刊ポストは吼えます。



A 39-year-old local government employee in Nara Prefecture
39歳の地方公務員が 奈良県で

skipped work for 7 1/2 months and received a six-month suspension as penalty.
無断欠勤した 7ヶ月以上も そして受けたのが6ヶ月の停職、罰として。

But he wasn't fired.
彼はクビにならなかったのだ

"I lost confidence in my work ability," the man reportedly told his employers.
「自信をなくしていました 仕事で」。そう答えた男は上司に答えたという。
"I just wanted to get away from Nara as much as possible."
「ただ逃げ出したかったんだ、奈良から、できる限り」。

When he was found, he was worn out.
彼が見つかったとき、すっかり疲れきっていた。

He seemed very surprised to hear that he hadn't been fired.
彼はとても驚いていたようだ 聞いたことに クビではないと。

(以上、Japan today、週刊ポスト英語版記事


なぜ、クビにならなかったんでしょう。民間だったら、とてもありえない決断と思うのですが・・。



"We realize that he is showing deep remorse for his action.
「分かったのは、彼が深く反省していること、やったことに対し。

Considering his attitude and ability at work in the past,
考えてみた 彼の態度や能力を、今までの

and that he had been given excessive work before his disappearance,
さらに、彼に課せられた過労など 彼が失踪する前に、

we decided on a six-month suspension rather than fire him."
私たちの決断は六ヶ月の停職、クビではなく。」



これを、英断と見るべきか、甘い公務員体質の象徴と見るべきか、意見の分かれるところでしょう。ついこの間の、2005年のニュースでした。

ただ、過労で職員が自殺したケースもあり、裁判では、国の責任を認めました。それが次のニュースです。公務員は批判の矢面に立たされていますが、実際には、膨大な業務を抱え残業を余儀なくされている方も少なくありません。



The Kofu District Court ordered the government Tuesday
甲府地裁の判決が政府に下った 火曜日

to pay 71.8 million yen in damages to the parents of a Social Insurance Agency employee
支払い7180万円は 損害で両親に (息子は)社会保険庁の職員だった

who committed suicide in 1999 after becoming depressed from excessive work.
自殺したのが1999年 うつになった後だった 過労による。

Shinji Yokomori, 23, jumped off an apartment building
横森真二さん23歳が飛び降りた アパートから

near his home in Tokyo's Suginami Ward in April 1997・・
彼の自宅近くで 東京・杉並区の 1997年に。

(以上、The Japan Times

この「社会保険庁」は解体的出直しが確定的です。その他、公務員改革は、郵政改革(postal reform)を成し遂げた竹中平蔵氏の総務大臣就任で、いよいよ加速しそうです。ちなみに、郵政関連の英語表現も覚えておきましょう。



国営郵政三部門:government-run mail delivery  (郵便),
          postal savings and  (郵貯)
          "kampo" postal insurance operations  (簡保)

公社:a government-backed entity


しかし、小泉首相が目指したのは、公社職員を民間部門にしてしまうことでした
    ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
    have them become private-sector workers  


そもそも小泉政権ができたときの官僚は、相当警戒感を抱きました。なぜなら、構造改革とは産業構造ばかりでなく、官僚が主導してきたあらゆる政策体系を抜本から変える恐れがあったからです。



A decade of economic doldrums and a never-ending series of corruption scandals
十年に及ぶ経済不振、そして終わらない汚職スキャンダルは

have badly eroded the public's confidence in these mandarins.
大いに揺らがした 人々の信頼を 官僚に対して。

Of more than 800,000 government employees at various federal agencies,
80万人もの政府役人が 様々な省庁にて

an inner circle of some 19,000 wield the real power.
内部の19000人は 実権を握ってきた。

During his campaign for the premiership, Koizumi took on the Old Guard of his own Liberal Democratic Party (LDP)
キャンペーン期間中、小泉氏が古い自民党と闘った

and their allies, these erito kanryo (elite civil servants) and he won,
(闘ったのは他にも)その仲間やエリート官僚、そして彼は勝った。

promising broad reforms that would curtail the bureaucracy and even close down some government agencies.
宣言したのは広範な改革、 縮小する 公務員規模を そしてさらに閉鎖する いくつかの政府系機関を。

(以上、2001年12月Time-asia.comの記事


さあ、小泉政権の最後の総仕上げは、選挙の地すべり的大勝(a landslide victory)を受けて、踏み出すことができます。

“Then there was a time when bureaucrats became the enemy.”

これまでは官僚を敵に仕立て上げればよかった時期でした。つぶしてつぶして、国民の人気を得ることができました。しかし、これからは違います。国民の増税をお願いしなければならない時期が近づいています。



"Many experts overseas think negatively of budget reforms
多くの専門家が海外では 消極的です 財政改革に関して

that are dependent on tax hikes because such reforms did not succeed in other countries,
依存せざるを得ないのは増税、なぜなら、(増税)改革は成功していない 他の国でも。

and tax hikes that come before cost cuts will dampen reform incentives.
増税の来るのがコスト削減の前だと、後退させてしまう 改革のインセンティブを。

The point is how the Cabinet will keep bureaucrats at bay and take the initiative in fiscal reform."
ポイントは内閣がどう官僚を追い詰めていくか、そして主導権を握れるか、財政改革で。

(以上、2005年11月The Japan Times


小泉・ニュー自民党か、前原・出直し民主党か。いずれにしても、この国の財政を、いや地方も含めた借金漬けの経済大国を建て直してもらうことが命題です。心から期待しています。『県庁の星』ならぬ、この国の新しい星は、財政改革の展望を示した者に与えられる称号かもしれません。




▼超お薦めの同書は、以下のブログにも詳細なコメントがあります。ぜひご参考に。

「地方では県庁の小役人はその都市でのエリート集団」(夕刊フジ「ライブラリー」)
「織田と柴咲は初共演・・映画ファンにアピール力の強いコンビ」(映画化、楽しみ)
「いかに現場をわかっていない人間が今の日本をデザインしているか」(ザ・現場主義!)
完全なノンフィクション版は、斐昭『不滅の役人天国』(これも読みたい、笑)
「しょっちゅう公務員の方とケンカしています。大人気ないです。」(僕もです(*^-'*)>)
「どれだけ面白いのかというと、織田裕二が主演で映画化になるぐらい」(織田祐二大好き)
「外からやってきた素人がスーパーを改革する、というストーリー」(関連作品も掲載)
「某県の請負仕事に携わって、異星人と対している様な・・経験」()
「映画「県庁の星」香川ロケ撮影順調」(映画速報ですね)
「民間には民間の悪いところがありますからね。」(確かに、微笑ましくありますね)
「ガッカリしたのは終盤の展開。主人公が・・」(映画での終盤が気になります)



Posted by cancheer 03:30 AM | 固定リンク
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県庁の星
県庁の星 桂望実 小学館 ¥1,365 (アマゾンより) 前代未聞! 抱腹絶倒
「ぼんじん日記」のサイトから
Posted at 2005.11.15 00:10
『 県庁の星 』役人エンターテインメント
『県庁の星』という小説、マジでおもしろかったぁ!どれだけ面白いのかというと、織田
「ファイトクラブ!資格道」のサイトから
Posted at 2005.11.15 09:38
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