cancheerの考え方
タイトル

感動&挑戦する英語、失敗する英語

日付

2005.12.24

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辛口トークは、いつ読んでも気持ちのいいものですね。何か、ドライビールで喉越しスキ!って感じがします。近江誠氏の『間違いだらけの英語学習―常識38のウソとマコト』のことです。ただし、すべての意見に共鳴したわけではありません。要は、著者の心意気や情熱、勇気に盛大なる拍手をお送りしたかったのです。


「英語を学ぼう」がお届けするのは、
お薦め学習方法や教材、などの情報です。


近江氏と言えば『感動する英語』(文芸春秋出版)で話題を呼んだ方です。キング牧師が表紙を飾る(主役になる)英語学習の本って、他にありません。同書には、感動だけではなくて、謝罪する英語でクリントンの言葉を引用してあったのには笑えました。いずれも選ばれているのは、有名人であり、スピーチの名手たち。



そして再び彼の本が店頭に並んだと思ったら、その続編『挑戦する英語』でした。こういうシリーズ化はつくづく感心します。僕は、あらゆる商品がシリーズ化・ブランド化されるべきという持論(?)を持っていますので、この本の店頭での存在感には、関係者に「してやったり」の思いを抱かせたのでは(笑)。




さて、話を戻します。近江氏は「常識の間違い」を指摘するほど、奇抜なことを提唱しているのか。実はその逆です。本来、あるべき原点に立ち返って、当たり前のことを当たり前にやろうと主張しているように思えました。最近の傾向として、安易な提案をする本が、特に英語学習本では増えています。雑談レベルだったことがいつの間にか宣伝文句に使われ、暴論が正論に聞こえるようになってきました。特にひどい場合は、タイトルやリード文と内容が一致しない本さえ、増えています。これは、売上を考えたい出版社側の工夫によって生じる現象なのしょう。僕は、必ずしも、このことを悪いとは考えていません。




近江氏の論点で、僕が賛同できた部分の一部を書き出しますと、

○ウソその2 日本人は英語の知識は十分もっている。ただ恥ずかしがりやなだけだ。
○ウソその4: 誠意があれば身ぶりでも十分に通じる。
○ウソその9: 百人いれば百通りの学習法があると思うのです。
○ウソその10: 英会話力をつけるためには英会話やオーラル・コミュニケーションの授業を増やせばよい。
○ウソその11: 間違いを恐れずにどんどんしゃべること。積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度こそ大切だ。
○ウソその32: 多言語多文化時代だ。英語だけが外国語ではない。英語偏重は日本人としてのアイデンティティを失うことになりかねない。
(以上、『間違いだらけの英語学習―常識38のウソとマコト』)



彼は本書で、非常に難しい言い回しをされています。おそらく、教育関係者に対して訴えたかったのかなと感じるほどです。しかし、その論点は驚くほど明解です。特に、正しい学習方法が百通りもあるわけがない、と断言するところは、読んでいて気持ちよかったですよ。


英語は、必死でやらなくてもいい人の比率が非常に高い言語です。重要な言語であることは否定しませんが、それでも、学習者の多くは実は特に緊急の必要性があるわけでもなく、せいぜい、将来の曖昧な目的のためか、ご本人が格好いいと考えているか、あるいはTOEICの点数だけでも上げたいのか、だいたいこのような動機の人が多いと感じています。


僕は、いずれの理由であれ、英語を学んでいるのは素晴らしいことだと考えています。死ぬまでに一芸を身につけたいというだけの年配の方を知っています。もし、彼らに、近江氏の論理を、彼の論調で伝えてしまったら、続けられる人はひと握りになってしまうのかもしれません(笑)。だから、僕の主義主張が近江氏と異なる点は、上記のような動機の人に配慮したものだからです。



このサイトではすでに、僕の持論を何度か展開していますが、この本に触発されて整理できたことをあらためてここに書き出してみると、


1)日本人の英語学習は時間やインプットの量が足りなさ過ぎる。
   →聞き流し/読み流しを合わせて、一日6時間以上。

2)独り言やプレゼン、スピーチの訓練は、もっとも有用。
   →自分が話したい/話すべき事柄で、訓練を積む。

3)英語と一緒に何かを学ぶようにする。
   →ホンモノ(のニュースや話材)で学ぶことをお薦めする。




僕は、中国語のときも、英語のときもほぼ同様の勉強法です。自分が「楽しい」と感じないことはほとんどやりません。その代わり、好きなことには、人の倍の時間をかけます。要は、短所に目をつむって、長所を伸ばそうとしています。近江氏がいう演劇的なレベルまでは行ってませんが、毎朝、DVDを見ながら、リチャードギアになったり、トムハンクスを演じてみたり。なりきることを心がけています。


『間違いだらけの・・』本書は、やや大げさなタイトルには違いありませんが、音を重視する学習方法の提案も、その他の類書と似て非なる点があります。覚えやすいとか、右脳を刺激しようとか言う前に、まず、自分自身が「感情移入できる」言葉を、身につけてみよう。そうしているうちに、暗号ではなく、相手と同じ土俵の上に立てる英語ができあがるのだと、僕には聞こえてきました。



英語学習で失敗と成功を分けるもの、僕個人の暴論としては、“嫌い”にならないこと、そのための時間を半分以上取ること。料理が趣味なら、それを英語で学んでみるとか素敵じゃないですか。目的がTOEICだろうが、留学だろうが、国際ビジネスの舞台であろうが、自分がさらに「好き」になれるための時間を半分以上とってください。それで勉強時間が足りないなら、全体の時間を増やしましょう。英語中毒になれればしめたものです。




▼計三冊の近江氏の本を読んで、感じたブログの発言録です。

「挑戦する英語」に、「西沢のホンネカラシ和え」(書評です)
こちらの書評自体に読み応えがありました(子持ちししゃもさん)
「私は一番チャップリンの演説が好き」(近江先生の『感動する英語』)
「感動的なスピーチや文などをまとめたもので、そのラインナップは豪華」(これも『感動する英語』)
近江先生が主張する英語学習、ウソの常識38はこちらをご覧ください(賛成?)
「これは教科書よりも楽しく、英語を学習できそう」(でき・・ました?)
「(小学校では英語より)私は、もっと国語の授業を充実させて欲しい」(熱い♪)
「ほら、どうだ、感動するだろう!なんて言われると・・」(タイトルの付け方ね)
「私が英語教育についてずっと思っていたことをズバリ」(嬉しいですよね)



Posted by cancheer 10:00 AM | 固定リンク
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