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April 2006
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今日、返品しないと間に合わない。僕は自分の独断で買った「クイックショナリー」をマジマジと眺めました。妻の言う通り、やせ我慢をするのに、3万円はつらい。また、ネットを探し回っても、この商品の使い方を工夫したという掲示板の情報は皆無でした。 この連載がお届けするのは、行き詰まりかけた事業 ペンスタイル辞書の復活をかけた実話です。 (^^;)
当時、市販の電子辞書としては、すぐに電源が入る機能と、アルファベットをひとつずつ入力するごとに候補の単語が表示される機能とが話題になっていました。僕自身もこれが精一杯だろうと考えていたので、問題は、果たしてこの機能が加わっただけで、僕がその電子辞書を何度も使う気になるかどうかという点でした。
言葉を学ぶときの僕の信じるところは、地道に辞書を引いて、単語や表現を身に着けていく方法でした。世の中には、多読や聞き流しという方法があり、僕はこれらも高く評価しています。しかし、これはあくまで英語に慣れるトレーニングが目的であって、コミュニケーションに必要な単語や表現力を増やしてくれるわけではありません。その可能性を、ペン型電子辞書に求めた僕の決断は甘かったのでしょうか。
ヨシッ。 最初に左の蘭を現状認識(使用上の注意)として埋め、次に、右の蘭で自分なりの新しいアイデアを書き出しました。
調べたい単語にぶつかると、通常は左から右に向かって引きます。そのとき、よくやらかした失敗は、サッとなぞろうと焦って、真っ直ぐなぞれていないことでした。なぜなら、文章が、ペン先と自分の右手の影に隠れてしまい、本当に真っ直ぐなぞれているかどうかよく見えていなかったのです。 逆からなぞったらどうなるだろう。すると・・・、そうです。
また、通常、この商品はペン全体を立てたほうが正しくスキャンできます。しかし、速く引こうと思うと、やや寝かせたほうがいいことに気付きました。実際、やってみるとちゃんと認識してくれます。そして、辞書のすべりもいくらか速くなったのです。
この商品には、「一行まるごと引けて翻訳を表示」とのキャッチフレーズがあります。これで売上は伸びるのですが、実際に使用された方は面食らってしまいます。たとえ一行を丸ごと認識できても、訳出しは単語・熟語単位です。読み取った文中の単語を、ひとつずつハイライトさせながら見ていきます。これだと、個々の意味を検索している時間を待たされることになります。僕は、単語や熟語レベルに割り切って、次々となぞりました。これのほうが断然速いのです。
この商品の最大のメリットは片手だけで操作ができることです。しかも、一度なぞって意味を表示させた後も、そのままなぞるだけで次の検索ができます。僕がこの商品を使うときは、この特長を活かし、英文から目をほとんど離さないようにしています。 たとえば、英文を読んでいて分からない単語に出くわします。辞書でサッとなぞるときも、僕は、英文を読み続けます。すると、辞書が単語を検索し、見つかれば読み上げてくれます。そのとき初めてチラリと画面を見ればいいのです。つまり、英文からはほとんど目を離さず、「サッとなぞってチョイと見る」を繰り返したのです。すると、ページ全体の英文記事を読むのに集中力が途切れることなく、いつもの半分以下の時間で読み終わりました。内容も、きんと理解できていたのです。
なるほど。 きっとこの商品の開発者は、スピードを上げることに特化した工夫を考えて、今の仕様になったに違いありません。だから速く(クイック)引ける辞書(ディクショナリー)として、「クイックショナリー」なのです。ところが、日本で販売するとき、「なかなかうまく使えない」という苦情が相次ぎ、この商品の苦情をなくすことばかりに神経をすり減らしてしまったのが、今の商品説明方法に反映されているようです。
Posted by cancheer 03:19 PM | 固定リンク
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