cancheerの考え方
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一勝九敗に挑むユニクロ、世界への再挑戦

日付

2005.11.05

挑戦なくして成功なし。それがこの『夜明け前』の大前提です。成功する寸前まで、失敗の不安と恐怖とに闘いながら、夜明けを信じてがんばる。そんな人々を応援したいと思うのが、多分・・・僕の一生です。そんなやり方が成功するかどうかも、分かりませんけど、ね(笑)。



新コーナーの「世界の空から」がお届けするのは、
世界の国々、サイトなどの情報です。
英語学習にお役立てください。


僕にとってバイブルのような本になった一冊が柳井さんの著書『一勝九敗』でした。今回の記事は、その柳井さんをめぐるユニクロのことです。世界を見つめるユニクロを、世界がどう報じたのか。その一部から、英語を勉強してみましょう。いつものように末尾には、参考になったブログをコレクションしてみました。今回は、好きな話題でしたから、結構楽しかったですよ。

それでは、早速、以下の英文にチャレンジ。


Tadashi Yanai is to once again take charge of Fast Retailing
柳井氏は、再び、舵を握りなおした ファーストリティリングの

after stepping down for two years in favor of Gen Tamatsuka.
(みずから社長職を)退任した二年間 支持していた 玉塚社長を

Yanai has been chairman of the group during that time,
柳井は会長だった グループの その間

but still by far the company’s most powerful figure.
しかしずっと、最高権力者だった

He will once again become president from late August.
彼は再登板する 社長に この8月から

(以下、japanconsuming.com


このニュースは世間をあった騒がせました。誰もが回復基調にあると信じたユニクロの復活に、柳井氏が待ったをかけたのです。僕も、最初の印象は、隠居した金の亡者が、現役に執着し始めたのかなと、心配になっていました。



He insists Fast Retailing is in a state of crisis and
柳井氏が断言したのは、同社が危機状態にあること(は変わらない)です

that Tamatsuka’s approach meant that the company was moving ‘too slowly’.
玉塚氏の手法は、 会社の成長が「遅すぎる」(のだとか)

This must be a serious disappointment for the man that, having taken over Yanai’s family seat,
これで大いに失望だ 後を託した人物として 柳井氏の

pulled the company back from a nosedive in just two years.
(玉塚氏が)会社をもとに戻した(のに) 急降下から わずか二年で

(以上、japanconsuming.com



柳井氏が提唱する成長の速さには多くの人が異論を唱えていました。そもそも無理な目標を立てすぎたのだ、と。確かに、日本中をブームに巻き込んだような急成長が世界規模で実現できない限り、柳井氏が目指す2010年「1兆円企業」(his goal of 1 trillion Yen in sales)とははるか彼方のことです。



“There is an urgent need to establish a solid group managing structure,
(柳井氏)「緊急に建て直す しっかりした経営体制を」

We have to reform ourselves to become a global company this year.”
「私たちは変えなければ みずからを グローバル企業に 今年」

The firm is set to open Uniqlo stores in the U.S., South Korea and Hong Kong this fall.
会社は、あらたな店舗を アメリカ、韓国、香港に(構える) この秋

Yanai, 56, said the firm has to undergo drastic changes, given the intensifying competition at home and abroad.
柳井氏は56歳、会社を劇的に変える、前提とするのは激化する競争 国内外で。

“For the sales target of 1 trillion yen in 2010, we don't have much time left.
売上目標 1兆円は2010年、多くない 残された時間は。

I want to do structural reform on my own,”
私がやりたいのは、抜本改革だ 私自身の

Tamatsuka said he offered his resignation to take responsibility
(一方)玉塚氏が言うには、辞表を提出した 責任をとって

for failing to achieve the 400 billion yen target he laid out when he assumed the position in 2002.
達成しなかった 4000億円の目標を 彼が提示していた (それは)その地位に就いた 2002年のこと。

“For corporate managers, results are all that matter,”
(玉塚氏)「経営者として、結果がすべて(重要なこと)」

(以上、The Japan Times

そもそもユニクロの歴史は1984年にまでさかのぼります。
“The first UNIQLO store specializing in casual clothing, opened in Hiroshima City”
(一号店はカジュアル衣料に特化して始まりました、広島で)

買い取りを基本に、在庫リスクを抱え、安売りを実現したのが彼の手法でした。直営チェーンを日本全国に拡大し300店舗を超えた頃、彼が本格的に着手した自社開発で、ついに、あのフリースが登場します。

“The 1,900 yen fleece campaign attracted great public attention.”
(1900円フリースキャンペーンが魅了したのは日本中の人々だった)


フリースって何?と僕がつぶやいていた1998年のことでした。その破竹の勢いに乗って、一気にロンドンへと店を出したのが2000年ですから、成長企業の肝は決断とスピードですね、本当に。


余談ですが、ユニクロの商品が高品質・低価格を実現したのは、中国での工場管理に成功したからです。彼らの優れた生産管理技術が、あの厄介な中国の人々の、見事な成果を引き出したのです。

その中国は漢字の国です。まず、ファーストリテイリングは、『迅鎖(シュンシュオ)公司』と書かれています。また、ユニクロは、『優衣庫(ヨウイークー)』。当て字とは言え、お店側はにっこりできる漢字ですね。ちなみに、ユニクロのライバルであるギャップ(GAP)は、『超越(チャオユエ)公司』。

※公司とは、会社という意味です。


ところで、ユニクロとライバル・ギャップとの競争の行方はいかに。


Uniqlo expects 2005 sales to surpass $3.5 billion, up slightly from 2004.
ユニクロ2005年の見込みは、売上で越えたのが35億ドル(3840億円)と、上昇幅はわずか、2004年より。

To compete with Gap (3,000 stores; $16.3 billion in sales), Uniqlo needs to focus on differentiating itself,
競争する ギャップ(3000店、163兆ドルの売上)と ユニクロは必要 絞込みが 差別化を図るための。

(以上、Time.com


今のところ、ギャップは、カジュアル衣料に特化した世界最大の小売企業(currently the world's largest specialty apparel retailer)なのだそうですね。



By comparison, the company who is throwing down the gauntlet,
比較すれば、挑戦者側となる(装甲手袋を放り投げた)企業は、

Tokyo-based public company Fast Retailing, parent of Japan's largest clothier "Uniqlo" operates 684 stores in Japan
東京に拠点を置くファーストリテイリング、親会社だ、日本最大の衣料チェーン「ユニクロ」の

In Japan, Uniqlo is best known for selling well-made clothes for "affordable" prices,
日本でユニクロは、最も有名 売るのが良質の衣料品、「適正」価格で

Among its core products categories are fleece, denim, knit T-shirts, cargo pants and cashmere sweaters priced between $20 to $70.
主力商品群は、フリース、デニム、ニットTシャツ、カーゴパンツ、カシミアセーター、価格帯は20〜70ドル。

(以上、CNN Money.com

ユニクロは今年に入っても出店攻勢を続けるが、市場はやや飽和ぎみ。柳井氏が言う「成長を続ける」には壁が立ちはだかります(The company hit a wall)。


私が大好きな著書は、その柳井氏が書いた「一勝九敗」。ひとつ勝ちたいなら、九回失敗することを恐れてはダメ。彼の哲学が、企業の実像から消えうせてしまったとき、それが彼には赤信号に映るのでしょう。特に、僕が感心したのは、「一生の職として店長を窮めてもらいたい」(日経ビジネス2005年9月26日号)。現場を預かる店長こそが重要なポジションで、本部で出世のことばかり考えるサラリーマンでは安定志向が根付いてしまうのだそうです。

彼の発言は、日産改革に成功したゴーン氏と共通のものを感じるときもあります。高い目標を掲げ、現場を重視し、責任を求める。本来、経営って、彼らのようにシンプルに実行するだけのはずなんですが、実際には、色々と簡単な問題をさも難しいことのように言って、決断を先延ばしにする経営者が少なくありません。僕がお付き合いをしてきた方々(中小企業の社長が多かったです)を見ても、そのタイプはきれいに分かれます。





僕が以前にもこう申し上げました。「成功は偶然、失敗は必然」

そして、失敗に学べる人は、確率の問題で成功をつかむ。それができない人は、多分、偶然すら手にできないんだろうなあとつくづく感じています。





▼柳井氏やユニクロのビジネスのことを取り上げたブログを集めてみました。

大前研一が、ユニクロ社長交代劇を斬る(賛成か、反対か)

「本当に最先端を走る人。柳井さん」(柳井さん自身、長者なのに走り続けてますね)
数字を取り上げ、簡潔に示したコメント分析(参考になりました)
「やー、大変だな。柳井さん。」(堀江社長の短いコメント)
「ビジョンと現状の間に・・・ギャップがある」(障害は柳井氏自身の資質・・なるほど。)
「ユニクロに明日はあるのか!」(厳しい意見も)
「ユニクロ経営、一敗許さず」(疑問の声が多いですね)
「果たしてユニクロは作り直す必要があるのか」(今回の交代劇は「迷走」?)
ユニクロとギャップとの商品・店舗比較(内容は具体的で秀逸)
柳井氏のスピーチを聞いての感想録(M&Aと企業評価)
「売り上げが低迷している理由・・日本人の羞恥心(こんなユニークさ好きです)
ユニクロ:銀座店、オープンです(行きました?)
『一勝九敗』を読んだ感想(ご自身も商売人!必見)



Posted by cancheer 04:42 PM | 固定リンク
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ユニクロ社長の事実上更迭
14日付日経新聞と同日毎日新聞とに、ユニクロ(正式名:ファーストリテイリング)の若き43歳の玉塚社長が、業績不振を理由に引責辞任、変わって会長(創業者前社長)の柳井氏が会長を兼務して社長に復帰することが発表された。玉塚社長は取締役としても同社には残らな...
「時評親爺」のサイトから
Posted at 2005.11.05 17:40
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