cancheerの考え方
タイトル

ハウルの動く城で、世界も動く(上)

日付

2005.11.16

ついに、『ハウルの動く城』DVDセットが我が家に届きました。僕が買ったのは、4枚組み。フランス語版と中国語(北京語/広東語)版も音声と字幕で楽しむことができます。英語と中国語を学ぶ僕にはぴったりの作品です。世界にはばたく日本のアニメを外国語で楽しむのは、僕の超お薦め学習方法でもあります。


「本物の英語」がお届けするのは、
映画・雑誌・洋書等のガイダンスです。


開梱して早速二回、英語と中国語のバージョンを駆け足で観ました。声優によってこうも変わるかという印象。中国語版は、日本語のときよりもしっくりきました。そうでなくても短い一語一語が、中国語ではさらに短くなります。感情のこもるセリフが多く、非常に、タメになりました。

他方、英語は声優と僕のイメージとに大きな開きがありました。あの顔に、この声はないやろう。思わずそうツッコミを入れていました。帽子屋で働く平均的な少女ソフィー(Sophie, an average teenage girl working in a hat shop)はおばあちゃんになった(turned into a 90-year old woman)ときの声を標準に、魔法使いの魅惑的な貴公子ハウル(Howl, a handsome-but-mysterious wizard named Howl)は恐ろしい鳥の姿になったときの声を標準にしたためだと思います。もっとも、今回買った中に収録されていた、英語版の監督のインタビューを聞くと、とりわけハウルの声優のところで悩んだことが告白されていました。


魔法の呪いを解くため(to lift the curse)のソフィーの冒険は、ハウルの魔法の動く城(Howl's magical moving castle)を基点にして展開します。その象徴が、城の中の切り替え式の扉。四色の円盤を切り替えていくだけで、市中、郊外、戦争、花園へとつながる出口が変わっていきます。


さて、この、日本語も含めた三ヶ国語ともに僕の感性とピッタリきた声優たちの役柄は、幼い、見習い魔法使いのマルク(Markl, Howl's apprentice)、火の悪魔カルシファ(a hot-headed fire demon named Calcifer)です。ある意味、はっきりした役柄だから、迷いのない選択ができたのでしょうか。



“The original is 'Wizard Howl and satan of the fire' of the juvenile literature of Britain”

原作は、『魔法使いハウルと火の悪魔』。児童文学です、イギリスのね。

“And the author is Diana Wynne Joneses.”

原作の作者は、 Diana Wynne Jones (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)。日本洋書販売さんのサイトには単独インタビューの記事が掲載されています。


Extraordinary characters, inventive imagery, and stunning artistry
型破りのキャラクター、独創的な表現力、そして驚かされる手腕

make this latest masterpiece from the visionary Miyazaki an unforgettable film going experience.
最後の傑作を作ったのは 夢想家の宮崎氏、記憶に残る作品がいよいよ現実のものとなる。



宮崎駿監督のことを紹介するのにぴったりの形容詞がゴロゴロしていましたね。日本でもまさにこんな感じで、形容されていたと思います。

舞台はヨーロッパ、時代は魔法と科学とが混在した(when magic existed together to the science)近代初期です。






Howl is rumoured to devour the hearts of beautiful young women.
ハウルが噂された 食らう 心臓を 美しく若い女性の。

Born and raised in the town lying at the edge of the Wasteland,
生まれも育ちもこの街 はずれにある 不毛の大地の

she works at the hat shop of her deceased father.
彼女は働いていた 帽子屋さんで 亡き父の。

One day in town Sophie encounters the mysterious and dashing young Howl,
ある日、市中で、ソフィーが出会ったのは謎めいた、そして颯爽とした若者ハウル。

who is trying to escape an unwanted pursuer.
彼は真っ最中、逃げる 厄介な追跡者から。



ソフィとハウルの出会いは偶然でしたが、ふたりの運命はもともと結ばれていたと思われる点がいくつもありました。家政婦のような顔をして、ハウルの城に乗り込んだソフィー。90歳になってしまった彼女は「自分で決めたのよ」と言い放ちます。ハウルは不思議がるわけでもなく、彼女との家族のような日々を始めます。互いを思いやり、信頼し、すべてが自然でした。


HOWL: Calucifer, you are so obedient, aren't you? What happened to you?おとなしいじゃないか、えー?どうしたんだい。

CALUCIFER: She bullied me!
この女がおいらをいじめるんだい。

HOWL: Not many people can do this
誰でもできることじゃないな。

And you are・・who?
君は、誰?

SOPHIE: Ah・・You could just call me Grandma Sophie. I'm the new cleaning lady. I've just started to work today.
呼び名はソフィーばあさんでいいよ、新しい掃除婦さ、始めたばかりよ今日。



家族のような生活の始まる四人。いや、魔法使いとその弟子と普通の少女のはずのおばあさんと、う〜ん、不思議な火。





HOWL: I'd appreciate it if you didn't torment my friend.
ありがたいのは、いじめないこと、私の友達を

MARKL: Master Howl? Are you going out now?
ハウル?もう行くの?

HOWL: Markl, next show that cleaning lady not to get too carried away.
教えておかなきゃ、あんまり調子にのるなって。

MARKL: Sophie, what did you do now?
ソフィー、何かやったの?

CALUCIFER: She almost killed me!
こいつはおいらを殺そうとしたんだ。

If I die, Howl goes with me.
おいらが死ねば、ハウルだって同じだからなあ。


物語の秘密が、また少し、明らかになってきました。それにしても、このハウルという人物。一体、何者なんでしょうか。実は、DVDの中での宮崎監督のコメントでは、「あまり詳しく描かなかった」のだそうです。そんなことより、主人公ソフィーが、少女のまま歳をとり、それでいてむしろ魅力や個性が発揮されていく様を描きたかったのだとか。人物は同じですが、環境や年齢が変わると、こうも活き活きしてくる。

何だか、うれしくなりますね。








▼賛否両論ならべてみました。注目作だけに、ね、色々。

「うぬぼれ屋で考えなしの浪費家でしばられるのが大嫌い・・ハウルは魅力的」(モテモテ)
「結構好きです。なぜだか、すご〜く素直な気持ちで観ることができた」(前半は特に大満足)
「飛びそうもない飛行機が飛び、浮きそうもない船が浮き、動きそうもない城が動く」
「宮崎駿という人は、飛びモノが好きみたいですね。私も大好き」(僕も飛びたい)
日本の声優陣に対する感想(声優への評価は分かれますね)
「日テレ in 汐留で開催されてた“ハウルの動く城”展」(映画より面白そう・・エッ?)
「ちらほら聞こえてくる前評判通りイマイチ、ソフィーの声は最悪」(説明不足?)
原作は、「面白い!アニメで“?”だった不確かさが全然ない。」(先に読もう)
「で、結局何が言いたいの?って思ったのも事実」(同意)
超ネタばれの詳細な考察5回連載(読み応えバッチリ)




Posted by cancheer 02:43 AM | 固定リンク
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魔法と科学が混在する世界のとある国。愛国主義が全盛を誇り、いよいよ戦争が目前に迫っていた。父の遺した帽子店を切り盛りする18歳の少女ソフィーは、ある日町で美貌の青年と出会う。 彼こそは人々が怖れる悪名高い魔法使いのハウルだったのだが、ソフィーは彼の優し...
「極私的映画論+α」のサイトから
Posted at 2005.11.16 19:04
ハウルの動く城
ハウルの動く城 上映時間 1時間59分 監督 宮崎駿 出演・声 倍賞千恵子 木村拓哉 美輪明宏 我修院達也 神木隆之介  映画好きだが全く映画興行収入(去年過去最高を記録)に貢献してないので、たまには自腹で。といってもファーストデイ。つーわけでハウル観...
「メルブロ」のサイトから
Posted at 2005.11.18 17:56
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