cancheerの考え方
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楽天が犯したタブー(監督解任劇)

日付

2005.12.01

日経BPの《ビジネススタイル》に、「楽天イーグルス立ち上げ奮闘記」が掲載され、三木谷オーナーと島田社長のインタビューがありました。新球団として参入一年目。しかも新しい土地でのスタートは、本当に何もかもが大変だったでしょう。ただ、現場的な感覚からいくと、犯してはならないタブーに触れてしまったのだと思います。


まあ、「いいじゃないか」・・というコーナーは、
瞬間風速のニュースにコメントするものです。


今年、楽天の成績は、38勝97敗。選手個人の過去の成績から勘案してもまさに「妥当」な数字だったようです。136試合のうち、3連戦を必ず負け越す(2敗)と考えれば90敗です。また、投手陣が、昨年の成績を足し合わせても40勝ほどしかなかったのですから、この新生球団の打撃陣をバックに勝てと言っても酷だと思います。それは、三木谷オーナー、島田球団社長もそろって認めておられるところです。


物議をかもしているのは、3年契約だった田尾監督の解任劇でした。シーズン終了から二ヶ月。球場を後にした田尾監督はあらゆるところで、球団首脳との不和を語っています。特に、日経ビジネス(10月31日号)の「敗軍の将、兵を語る」の田尾さん側の話も勘案すると、お互いに今年の散々な結果を予想しておきながら、連敗が続く日々の中でうまくコミュニケーションができなくなっていたのは間違いないようです。


この奮闘記で三木谷オーナーは、強くなることを強調します。
「何連敗もしていると、確実に視聴率は下がっていった」
「チームは強くなれば『にわかファン』が増え・・そういう『にわかファン』を増やしていかなければいけない」
「来年はプレーオフ出場にからみたい。」


なるほど、それが一年を闘ってみての、気付きですね。



それならば、僕は次のような理由で、球団側の解任劇を肯定します。

1)不和がこれ以上、悪化する前に、解任を決断した。
話し合いで解決する道があるならいいのですが、田尾さんの現役時代からの言動も考えると、一度、対立してしまえばこじれる一方だと思われます。

2)「強さ」を第一義として方針変更した。
この一年のやり方を見て、田尾監督の手法では「間に合わない」と、早め早めの決断をしたのは、プロの世界では当然のことかもしれません。

3)甘えを断つため、現場の最高責任者に大ナタをふるった。
「拾ってもらった」選手がも多くなる楽天では、どうしても負け犬根性とも言える、馴れ合い的雰囲気が出てきます。手をつけるならまず最高責任者からという判断は、長期的には正しい決断になってくると思われます。



以上のような三点から、球団首脳は果敢な決断をしたし、おそらくこの後の対応次第で、現在の批判的な評価も一変するのではないでしょうか。

ポイントはこの三点の裏返しですが、▼野村新監督との協議方法を確立させること、▼現場が納得する「強さ」のための補強をすること、▼選手全員への機会を増やした上で徹底的な実力主義を貫くこと。


プロ野球は興行ですから、舞台でぶざまな姿をさらすことはご法度です。役者と監督との間で衝突があっても、舞台にいるときは役者が最高の状態で演技ができるように配慮しなければなりません。それができないなら、舞台に上げることを認めない。それくらいの覚悟があって然るべきだと思います。


それにしても一年目で黒字を達成。地元ファンへの浸透度も素晴らしいですね。良い悪いを判断する段階ではないと思いますが、経営陣の腕は確かなようです。




さて、最後まで引っ張ってしまいましたが、そんな球団首脳が犯した現場へのタブーとは何でしょうか。これが僕からの問題提起です。それはあくまで田尾元監督の言っていることが本当だったら、という意味です。



“「いろいろな人にいろいろな話を聞いて、本当に分からなくなってしまった」と(三木谷オーナーは)おっしゃっていた”

三木谷さんのこの発言はおかしい。現場がおそらく状況を報告し、提案や要望を出しているはずなのに、何の責任もない人の言に左右されて現場にこのようなことをもらすのは、最悪です。僕の身近でも、現場が社長に一生懸命提案していた事例があります。ところが、社長がその提案事項を決断したのは、友人にそうしてしまえと言われたからだそうです。トップが現場を信用していないと思われても仕方がありません。


“楽天のサラリーマンで・・本当の素人が球団代表としてやってきた”

現場や、プロ意識の強い人が一番嫌うのは、いわゆる「サラリーマン根性」です。みずからはできる限り、「決めない、変えない、やらない」人。組織の中で、社長であったり、代表であっても、これが見事にあてはまる人たちがいます。まだ、偉大なイエスマンのほうがマシだと、現場からはバカにされるでしょう。そう思われないためには、現場が逆に心配になるくらい、オーナーへの代弁役を買ってくれなければ意味がありません。


“(球団が)ヘッドコーチだった山下さんを代え・・山下さんを否定することは、(チームの)首脳陣の否定と同じ”

コーチ陣は、田尾監督が選び、田尾監督を信じてついてきたはずです。田尾監督が、彼らに厳しくあたると同時に、彼らの立場を守ります。だからこそ、現場が一体になれるのです。それを分断させるかのように、シーズン途中で、球団側が現場に亀裂を生む、あるいは田尾監督への求心力が下がるような行為をするのは、最低です。闘っているのは現場なんです。会議室ではありません。

(以上、日経ビジネス・敗軍の将、兵を語る、より)

推測を前提にしているのに、やや過激な表現を使ってしまいましたが、経営における、僕のような素人でも分かるタブーを、彼らは犯してしまいました。そして現場がモラールを低下させたまま、お客様の前で日々試合をやらざるを得なかったんです。まさに、モラールハザードです。




僕がコンサルティングの仕事をしていたとき、責任者として色々な業務にたずさわり、僕の強引なやり方が物議をかもすことは少なくなかったと思います。そのとき、当時のトップ(オーナー)はこう言いました。

「彼が決めたことは、会社の意思だ。彼に従ってほしい。」


社員に対してばかりでなく、取引先からのクレームにもそう言ってくれたんです。これで燃えないわけがありませんよね。問題があれば、僕に言えばいい。僕を代えればいい。決断や責任をもっている人間同士が話し合わなければ意味がありません。




そんな基本的なことは、財務諸表が読めるようになる前の、経営の基本だと思っていました。もう楽天は、ひとつの放送局を丸ごと買おうとするほどの企業です。日本を代表する立派な会社です。同じ轍を踏まないようにしてもらえれば、うれしいですね。なぜなら、僕にとっても、多くの人にとっても、目標であり、尊敬される存在なのですから。




決まり文句です・・・来年に期待するっていうことで、まあ、「いいじゃないか!」




▼スポーツビジネスに進出した楽天は色々苦戦しているようです。

「オーナーはケチで有名・・まさに球団運営に・・純朴な東北人を騙して」(厳しい)
「三木谷氏のチーム作りの失敗は初犯でもない」(“種蒔きの次の作業”、納得)
「何泣いとんねん!・・経営者として尊敬していました」(裏で色々あったのかな?)
「おこがましいかも知れないが発展途上の人と感じる」(人は必ずしもお金ではない)
「三木谷さん、大丈夫か〜?」(最近、逆風ですね)
「戦力分析【楽天編05終了】」(各球団楽しみにみてます)
「ありがとうと言う”感謝”や”情”もない・・三木谷の冷たい1面」(なるほど)
「38勝しかできなかった監督を、最後の試合で選手は胴上げ」(きずなです)
「9月初旬段階で地元の92%が(田尾監督)続投を支持」(僕も支持してた)



Posted by cancheer 12:38 AM | 固定リンク
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楽天が犯したタブー(監督解任劇)
夜明け前で、『楽天が犯したタブー(監督解任劇)』をアップ。ただ、せっかくアップし
「I can cheer you up!!」のサイトから
Posted at 2005.12.09 06:41
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