cancheerの考え方
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大停電の夜に灯した心の闇

日付

2005.12.04

とても上質な仕上がりになりました。日本でも、いや日本だからできた映画かもしれません。映画の中の事態は本当に大停電ですよ。きっと出てこなかったシーンでは相当な混乱や悲劇があったはず(笑)。ただ、もう一方で「こんな夜だから」と、始まる幻想的な夜は、自分の心をホンワリと灯してくれました。『大停電の夜に』です。


事件・ニュースから、映画・雑誌・洋書のガイダンスまで。


話の前提やプロモーションの手法は、イギリスのラブコメディ『ラブ・アクチュアリー』とそっくりです。むしろ、敢えてそっくりに仕立てたんでしょうね。詳しいストーリーや映画の見方は、いつものように、末尾で挙げた秀逸ブログで楽しんでください。




個人的な感想ですが、豊川悦司と田畑智子のバーでのやりとりがとても良かったです。あの役をやらしたら、それぞれ右に出る人はいないでしょうね。また、田口トモロヲさんを初めて拝顔しました(笑)。いつもプロジェクト召農爾个り聞いていたものですから。そして、その妻役の原田知世。ブレンディ(味の素のインスタントコーヒー、僕も好き)を片手に、思いにふける彼女を見たときは、映画冒頭のスポンサーに確か味の素の名前があったことを思い出して、笑ってしまいました。


ま、こんな瑣末的な事柄はいいとして、ストーリーのまとまりは、お世辞抜きに「上質」でした。

クリスマスイブが始まろうとした瞬間、東京は突然の暗闇に包まれます。イブだから、今年もたくさんの人たちが、愛する人とのひとときを、一緒に楽しく過ごすはずでした。でも、それが無理だった人たちがいます。そして無理になった人たちもいます。そこへ、突然の大停電。映画の中の登場人物たちは、心の重石を抱えたまま夜の闇へとさ迷っていきます。しかし、夜が明けるその前に、誰もが、優しさあふれるキャンドルの灯りのもとつながり始める・・そんなひと夜の、とっても「リアル」で「ブレンディ」な物語です。



それでは映画で出てきた場面をもとに、今回もその英語に触れてみましょう。まずは、映画の冒頭と、終わりに登場しました「サンタクロース追跡サービス」。NORADの提供です。題して・・

“Tracks Santa 2005”


NORAD(ノーラッド)は米国とカナダの航空宇宙防衛を担当する軍事組織なのだそうです。リンク先には日本語版も用意されていますね。さて、そもそも、なぜこんなイベントを、軍事関係者が始めたのか。きっかけは意外や意外。


The tradition began after a Colorado Springs-based Sears Roebuck & Co. store advertisement for children
この伝統が始まったのはお店の広告だった、子供向たちへの

to call Santa on a special "hotline" included an inadvertently misprinted telephone number.
(広告は)サンタに(電話が)つながるホットラインが書いてあり、不注意にも間違った番号だった。

Instead of Santa, the phone number put kids through to the CONAD Commander-in-Chief's operations "hotline."
サンタに代わり、その番号がつないだのは中央防衛航空軍基地(CONAD)の司令長官のところだった

The Director of Operations, Colonel Harry Shoup, received the first "Santa" call on Christmas Eve 1955.
司令長官のシャウプ大佐は受け取った 初めてのサンタコールを、イブに、1955年。

Realizing what had happened, Colonel Shoup had his staff check radar data
悟った、何が起こったか  シャウプは部下に命じレーダーをチェックさせた

to see if there was any indication of Santa making his way south from the North Pole.
確かめるために 何らかの証拠を サンターが通ったという北極からの南のルートで。

Indeed there were signs of Santa and children who called were given an update on Santa's position.
なんとそこにはあった、サンタの跡が そして電話をしてきた子供たちに知らせた サンタの行方を。

Thus, the tradition was born.
こうして始まった。

(以上、Why track him? ―NORDA Tracks Santa 2005より)





さて、追跡調査を続けている米・カナダ両軍の現在の見解やいかに。果たしてサンタはいるのでしょうか。


We believe, based on historical data and 50 years of NORAD tracking information,
我々の考えは、歴史的なデータや50年前のNORADの追跡記録に基づく限り

that Santa Claus is alive and well in the hearts of people throughout the world.
サンタクロースは実在し、人々の心に元気に息づいている 世界中の。

Long before the Wright brothers flew the first airplane in the United States
ずっと後になってライト兄弟が世界初の飛行機を飛ばした アメリカで

or the Montgolfier brothers flew the first hot air balloon in France,
モントゴルフィエール兄弟が世界初の気球を飛ばした フランスで。

Santa knew he had to find a way to travel quickly from house to house at great speed.
しかしサンタは(とっくに)知っていた 方法を 素早く移動できる 家から家へと 想像もつかない速さで

It may be that Santa heard reports of flying reindeer near the North Pole
それはサンタが聞いたから 空飛ぶトナカイのことを 北極近くで。

and went there in search of the elusive animals.
そこへ(実際に)行った 探すために、その不思議な動物を。

Of course, to this day, detailed information on these reindeer remains a mystery.
もちろん、今日に至るまで、詳細な情報 このトナカイに関して 謎のまま。

(以上、Is he real? ―NORDA Tracks Santa 2005より)


Ha, ha, ha....!

継続調査を望みましょう。多少の税金を使ってでも(笑)。今年のクリスマスが楽しみです。

さて、この映画にもうひとつ、リアリティの要素を与えてくれるのは、大停電が現実にあったことだからです。ここでは十年前のカリフォルニア州を襲った大停電を取り上げてみましょう。決してあってはならない、ライフラインの機能停止という事態は、何と、人為的なミスで引き起こされました。ちぐはぐな政策決定が原因でした。


たとえば、発電所の新設を容易に認めないまま、市場の自由化ばかりを優先させました。競争はコスト面ばかりが先行し、品質担保という要因が織り込まれる構図になっていませんでした。しかも、電力需要が増大しやすいライフスタイルを抑制することもしないままに。つまり、本来は、「パッケージ」で(色々な側面を合わせて)考えないといけない政策決定のはずなのに、それぞれの偏った理屈ばかりが通り、大幅にバランスを欠いたものになっていました。要は政治のミスが引きおこした停電です。


停電は、英語では“BLACKOUT”と言います。停電のほか、意識・記憶を失ってしまったときも、この単語を使います。同州の電力危機は、電力会社の民営化で揺れていた日本にも相当なインパクトを与えました。僕は、当時、この業界のお仕事に深く関わっていたひとりですが、多くの社員が、民営化の行方を固唾を呑んで見守っているという、本当に深刻な声だったのを覚えています。


今一度、振り返って考えたい人は、PBSの特集サイトをどうぞ。その名も“BLACKOUT”。何が原因で、誰が得をしたか、という衝撃的なタイトルです。VIDEOやスクリプトも充実で、学ぶにはぴったりです。

PBS“What caused the power crisis in California? And who's profiting?”



What, exactly, happened in California?
何が起こったのか、カリフォルニアで。

Some have attributed the state's energy woes to the "perfect storm" theory:
一部の人の話では、エネルギー危機が、ある理論に。

California fell victim to a number of different problems that, taken individually,
カリフォルニアは見舞われた たくさんの難しい問題 個々に見ていくと

wouldn't have equaled a crisis, but through a combination of a flawed deregulation scheme,
危機につながることはなかった しかし組み合わさった 欠点だらけの規制緩和案が

the effect of the drought, and several other extenuating circumstances,
不足が招いた影響 いくつかの些細な要因まで

California was caught in the eye of a storm.
カリフォルニアは暴風雨の目にいた。

(以上、The Roots of the Crisis―BLACKOUT/PBS)


このサイトから案内のある、“San Francisco Chronicle”には、とても要領よくまとめられた情報があります。なぜ、何が、どうして、そして問題の本質は・・などなど。ぜひご覧ください。


現実にありえる東京の大停電。この映画では何が大停電を招いたのでしょうか。本論とは関係ないですが、映画の回答はユニークでしたよ。





光がなくなって初めて気付く星の光、電気がなくなって初めて気付く炎の優しさ、やることがなくなって初めて気付く心の闇。日常的にはなかなか体験できない、ある意味、不幸せな僕たちに仮想体験をさせてくれるという意味で、この映画は相当上質な仕上がりです。


もし映画を見るなら、ぜひ、こちらのサイトもご覧になってください。映画の登場人物12人が、それぞれ語りだす、大停電の夜。ネットでオンエアです。聴くときは灯りを消してお楽しみください。



▼さあ、お待たせしました。この映画をナビゲートしてくれるブログたちです。心なしか、各ブログの言葉遣いがとてもきれいです。

「いくつものエピソードが互いに絡み合い、干渉し合い、一つの物語」(最高♪)
「パニック映画になりそうなところをホンワカとしたロマンティックな映画に」(#^.^#)
「“ラブ・アクチュアリー”はラブコメディだったのに対して・・“親子の絆”」(僕も比較)
「普段は絶対つながりがない人とも実は何かを通してリンクしている」(=^_^;=)
「源孝志(監督)・・前作に共通する“光”のやわらかさだけは変わっていない」(中西奈津子さん)
「田口トモロヲさん・・ようやく顔を覚えました。」(僕と同じ感想)
「ハッタリの効いた壮大な設定・・個々のエピソードが小粒過ぎて・・」(精緻な評論)
「無印とフランフランで、キャンドルをいくつか買って来ました」(僕もです)
「溶け残りのろうを使ったキャンドル作り」(手作り大好きさんの着眼点)
「4大都市で大停電&大点灯」(こんなイベントあったんですね)




Posted by cancheer 05:13 PM | 固定リンク
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「推理の図書館 ブログ」のサイトから
Posted at 2005.12.04 22:36
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「多趣味ですがなにか問題でも?」のサイトから
Posted at 2005.12.05 20:17
【映画評】大停電の夜に
クリスマス・イヴの夜、大停電に見舞われた東京の片隅で繰り広げられる群像劇。
「未完の映画評」のサイトから
Posted at 2005.12.13 00:37
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