cancheerの考え方
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日本にナショナリズムの台頭

日付

2005.12.05

とても意外に思われるんですが、僕は演歌やフォークソングに並んで、ヒップホップも好きなんです。自分から敢えて買うのはまれですが、今回のように、いつも聞いている“The world”に、日本の曲が取り上げられていると激しく反応してしまいます。今回は、ラップ界のカリスマ“K DUB SHINE”氏でした。


事件・ニュースから、映画・雑誌・洋書のガイダンスまで。


こちらのサイト“Global Hit”では、“K Dub Shine”氏にもインタビューし、ラップのメロディを背景に衝撃的な詞をつづる彼の曲を紹介しています。また、英語での解説も非常に興味深く、だいたいその概況は、下記の英文に表現されている通りです。



Japan's been experiencing a rise of nationalism.
日本がまさに直面しているのは、ナショナリズムの発揚だ。

And it's found some musical expression... in the voice of a rapper named K Dub Shine.
耳にするのは音楽の中の表現・・声はラッパーのK Dub Shineだ。

K Dub Shine says it's time Japan stopped apologizing for what it did in World War Two.. And started to rise again.
彼は言う、今は日本が謝るのをやめるときだ 第二次大戦でしたことについて・・だからもう一度立ち上がれるんだ。

K Dub Shine laments the westernization of Japanese culture.
彼が悲しむのは 西洋化 日本文化の

But he admits he was inspired by his time living in the United States.
しかし彼は認めている 彼自身が影響を受けている、滞米体験での。

(以上、“Global Hit”―The Worldより)


このサイトのインターネット放送は超お薦めですよ。BBC他の共同制作で成り立っています。毎日のニュースの他、特集などもコンパクトにまとめられています。BBCは周知の通り、イギリスのメディアですが、今や、放送の枠は国際的な分野でも圧倒的な知名度を獲得しています。ただ、ここはスクリプトが公開されていないのが、少々残念です。

“The World is a co-production of the BBC World Service, PRI and WGBH Boston.”



さて、話を戻しますが、彼のような社会派ラッパーが若者に与える影響はずいぶん大きいのだそうです。僕は単に楽しく聞いているだけなんですけど。若者が、彼によってずいぶん流されてしまうのではないかという点です。もちろん、この曲をしっかり考えるきっかけにしてくれるなら、ありがたいんですけど。(我ながら、オヤジくさいなあ〜)


"To the younger generation, rock is not cool anymore.
若い世代にとってはロックじゃもう無理。

Hip-hop is definitely a new form of expressing their attitude and their lifestyle,"・・
ヒップホップが間違いなく、新しいカタチ、表現するのは、彼らの態度や生活感を。

"The Japanese hip-hop scene didn't start long after American hip-hop started in the Bronx,
日本のヒップホップシーンは 始まらなかった 時間をかけて(=あっと言う間に始まった)アメリカの後。

but commercially, it's taken off in the last three years."
しかし、商売になり始めたのは、この三年だ。

"Hip-hop offers Japanese youth a medium to vent disappointment.
ヒップホップが日本の若者に提供したのは、手段だ 失望感を発散させる

Now you can hear some influential rappers like Blue Herb and K-Dub Shine
今、聞こえてくるのは影響力のあるラッパーだ たとえば“Blue Herb”や“K-Dub Shine”

speak up against some government policy and hardship in society,"
(彼らの)語りが対峙するのは、政府の方針や社会の苦難だ。

(以上、From the hip―METROPOLIS誌より)


国威発揚を示すような言葉は、弱腰を続ける政府からではなく、ヒップホップの担い手から発せられました。彼らの曲を聞き、多くの若者、いわゆる戦争をまったく知らない世代が、過去の歴史を背負わせることにうんざりし、それでいて偽善的にアメリカ追随の戦争支援国家となった日本政府の行動に疑問を呈しています。


これを、ナショナリズムと形容されると、日本人にとっては非常に違和感があるでしょう。たかだか歌ではないか、と。


しかし、小泉首相の靖国訪問(Koizumi's shrine visits)で中国・韓国から叩かれた政権があれだけの大勝に至りました。さらに『嫌韓流』とか『中国入門』とかいう過激な漫画本が出版され大ヒットしています。海外メディアからすれば、「国粋主義の台頭する日本」になるのは無理もありません。僕自身は、別に、これらの極端な本が出版されたこと自体を議論するつもりはありませんが、売れ行きの好調な点で、今のままではいけないということを強く感じさせられました。



The trend, typified by the runaway hits "Hate Korea: A Comic" and "Introduction to China,"
トレンドの代表は大ヒットした『嫌韓流』と『中国入門』

has struck a chord among young readers who resent Japan's being cast as the bully in 20th century history
感情に訴えた 若い読者の間で (彼らは)不快感を抱く 日本が問題児のように描かれたことに 20世紀の歴史で。

The interpretation in the recent comic books is nothing short of provocative -
意味は 最近の漫画本において 明らかに挑発だ

at a time of rising tensions between Tokyo and its neighbors,
同時のタイミングで、緊張が高まったのと 日本と近隣諸国との間で。

and as Japan takes a decided tilt toward an unapologetic view of previous military action.
日本がとっているのは、断固として 謝罪しない方向だ 過去の軍事行動に関して。

Hate Korea" tells the tale of wide-eyed Japanese college freshmen who
『嫌韓流』で出てくるのは、(驚いて)目を丸くする日本人大学生の話

discover that Japan's colonial rule over the Korean peninsula in 1910-45 - seen in Korea as brutal subjugation -
(大学生は)発見した日本の植民地支配について、挑戦半島における 1910〜45年の

was a well-intentioned attempt to bring civilization to a backward country.
(支配は)善意によるものだった 文明化を導入するため 遅れた国に。

"It's not an exaggeration to say modern Korea was built by Japan,"
大げさなことではない 韓国の近代化を進めたのは、日本なんだと。

Tensions have risen between Tokyo and Beijing, for instance,
緊張が高まった、日中の間で たとえば

in tandem with China's spectacular rise as an economic and military power in Asia.
それが連動しているのは 中国の見事な台頭だ 経済的な、そして軍事的な アジアにおける。

The two are sparring over everything from territory and underwater gas reserves to history
両国はあらゆることで争っている 領土から海底ガスの埋蔵、そして歴史に至るまで

and Japan's military alliance with the United States.
日米軍事同盟も(対立要因のひとつだ)

(以上、Nationalist comics become popular in Japan―Sacbee.com)



この『夜明け前』は個人サイトということでお許しいただきたいのですが、僕は、韓国・中国の人々を擁護する立場です。実際、日本が戦争を始めた瀋陽の地に留学していたこともあり、学内のたくさんの韓国人留学生や、地元の中国人と激しい議論をしました。もちろん、多勢に無勢、僕はあちらではたった一人でしたので、真っ向から闘おうなんて怖くてできませんでしたが、それでも日本の状況や立場を説明したつもりです。

何人かの心ない連中からは、食堂で皿を投げつけられたこともありました。それでも、僕の話を最後まで聞いていた彼らの大半は、悲しい顔をしました。戦争は、誰も幸せにしない。何かを守るとか、何かを手に入れることが、人を殺す理由であってはならない。お互い、そういういう結論になりました。



1)歴史的な経緯をすべて「やむを得なかった」で片付けるな。
朝鮮戦争や東西冷戦など色々な事情があったにせよ、僕は、日本がアジアの人々への謝罪が十分でなかったのは事実だと考えています。それでも今さら金銭的な補償をどうこう議論されてはきりがないのも事実です。個人補償ではなく、先方の政府を通して、できることは何かを議論し続けることが大事なんだと思います。

2)嫌われても好きだと言い続けられるくらいの寛容さがほしい。
中国の共産党は信用ならないとか、韓国のマスコミは偏向報道が多すぎるなど、親韓・親中の僕でも同意せざるを得ない点はあります。だからと言って、日米同盟で中国と対峙しようという理屈が正しいとは思いません。また、韓国が何を言っても無視しておけばいいとも思いません。あまり知られていませんが、彼らと積極的に関わることで、解決できる問題が実はたくさんあるんです。

3)適切なナショナリズムについて今一度、考え直してほしい。
自衛隊の海外派遣とか、常任理事国狙いとか、平和憲法の放棄・改正とか、領土・領海の主張とか、誤解されかねない日本の行動が、各国の人々に大きな不安となっています。僕には、それがとても悲しいです。個々には決して間違ったことではないのに、これだけ脈絡もなく並ぶと、政治的野心があるものと誤解されても無理ないでしょう。海外の目をもっと意識して、政策の体系を説明できる政治家が登場してほしいものです。




ちょっと政治的主張によりすぎました(=^_^;=) 。独り言でした。



▼【K DUB SHINE】と【嫌韓流】について、参考となるブログを並べてみました。

「K DUBの詞はいつも大事なことを気付かせてくれます」(詞の引用/自作詞)
「社会学者である宮台真司氏と、ラップミュージシャン・K DUB SHINEの対談」
「K Dub Shine・・ただ一人渋谷から世界に光を放つ」(“宮台氏”の濃厚な日本語)
「嫌韓流・・素材が正しくても味付けとしてはどうかと」(なるほどと感心)
『嫌韓流』を叩く韓国をさらに叩く(韓国報道には確かに問題ありすぎ)
「“マンガ嫌韓流”がNYタイムズでデビューだそうです」(色々な情報も芋づる式に)
「30万部嫌韓流のドラマ化は?」(勘弁してください f(^^;))
「“嫌韓流”・・は大学受験に失敗した理由を“勉強しなかったからだ”と」(面白い)
「私は韓国人と仲良くなりたい、と純粋に思えなくなってしまっている」(ふ〜む)
「日韓首脳会談に関する各紙社説」(ツッコミが面白い)




Posted by cancheer 02:42 AM | 固定リンク
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Posted at 2005.12.06 10:14
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