cancheerの考え方
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素人が理解したライブドア問題の本質

日付

2006.01.23

テレビでは、ライブドアショック。街行く人々の声は、「残念で仕方ない」「若者に悪い影響」「いつか何かでやられると思った」「とてもショック」などなど。僕は、正直、不思議でした。すでにホリエモンが悪いことをしたと決めつけています。しかし、何がどう悪かったのかを理解している人はどれくらいいるのでしょう。

 

「まあ、いいじゃないか」という、気楽&独楽コメントコーナーは、
書評、社会評論などを前向きに行います。英語はお休みです。


ちなみに、僕の周囲の人。「人の気持ちを考えない」「過剰な自信家」「お金で何でも解決できると思っている」「法スレスレのことをやってきた報い」「あの会社は何も生み出していない」。だから、今回の事件は自業自得なのだそうです。


ちょ、ちょっと待ってよ。彼は何の悪いことをしたの?


それに明確に答えられる人はいませんでした。一番まともだと思えたのは、「ウソをついて株価を吊り上げたのは、株主を騙してお金を集めたってことでしょ?」というもの。


多くの意見は、報道で形成された単なる偏見や感情論でした。そこで、ど素人の僕も、勉強してみました。

違法性につながるポイントは二点。
      ウソの発表をした(虚偽情報)、
      ウソの帳簿をつけたか(偽計取引 or 粉飾決算)


真相解明とは、違法行為の有無と、指示・実行者の特定、そして違法性の認識という三点が焦点になってくるはずです。


ライブドア社の現実の姿は、企業買収をテコに株価と株式数を増やしていく、投資ファンドだったのです。最初の頃は割安な会社を探し出し、徹底的なコストダウンと自社の信用度を加えるやり方で、いくつかの再生事例を作りました。見事だったと思います。しかし、彼ら自身が上場を機に少しずつ変化してきます。稼ぐことより、資金を集めることのほうが重要になってきたのです。集めた資金は、再び企業買収にあてられました。この循環が可能になるには、二つのことが必要でした。


株価を上げること、株価がまだ上がると期待されること。そのために、「サプライズ」こそが彼らのやり方の主軸になりました。会社を買収したり提携したりするなどの戦略は、相手がある本当の「サプライズ」です。もうひとつは、失敗しても構わないバルーンとしての「サプライズ」。近鉄の買収や選挙への出馬などは、結果的には成功しませんでしたが、十分な利益をもたらしてくれたはずです。

その二点はいずれも疑惑をもたれました。情報や会計を操作して資金を集めたのではないか。さらには株価が急騰する一瞬を利用して儲けるためだったのでは、などです。一種のインサイダー取引です。だから、一部のメディアでは「自作自演」と表現しているのです。「サプライズ」は株価の上昇機運を作り、その過程で手元に増やした株式を売却する。言い換えると、株を買った人のお金の一部が、ライブドアの利益として流れたことになります。本来は、株主のお金を元手に稼いで、その利益を還元しなければならないはずだったのに、です。


極論すれば、最初に株を買ってくれた人に、次に株主になった人のお金を回すというやり方です。どう考えても砂上の楼閣です。特に、その過程でウソがあった場合は、借金を借金で返し続けていくようなもので、行き着くところは、被害規模を拡大した上での破綻です。


そもそも今回、違法との疑惑を受けている一連の行為は、ライブドアの急成長を支えていた手法です。「高速道路の路肩を走行して」勝ち組になったとうまい表現をしている方もいらっしゃいましたが、あのスピードで、大混雑の本線に戻るのは容易ではありません。

1)資産に対して割安な会社を発見。
2)現金を動かさないで株式交換。
3)その交換比率を巧みに設定。
4)株式分割で、無知(に近い)小口投資家を増やす。
5)その分割の時間差によって生じる株価の高騰。
6)投資事業組合を使って株を売却。
7)会社の利益も着実に増えていく。


このサイクルの間に、実態的なビジネスの数を増やしていかなければならなかったのですね。そうすれば、虚業も実業、投機家も事業家になっていくという算段だったのでしょうか。


端的に表現すると、ライブドアの手法とは、価値が変動する株式というものを、次々と回り持ちさせる中での錬金術だったと考えます。次から次へと色々な人(会社)に株券を渡し、他方では株券の数を増やしておく。そして、その一部を少しずつ市場で売って儲けるのです。この仕組みが成り立つためには、株式数と株価(総額)とが増え続ける必要があります。これが、彼らの「時価総額経営」ではないでしょうか。


以上、素人の僕が、整理してみた状況です。

僕は、株には興味のない人間ですが、企業の買収戦略や事業再生などは本当に素晴らしいことであり、そのために整備された、株式交換や株式分割、投資組合などの一連の緩和措置も、必要なことだったと思います。かつて堀江氏が言っていたように、「だったら法を整備すればいい」のは、ある意味、正しいことだと思います。


ライブドアの皆さんが、今回の風評被害の分も含めて立ち直れるなら、頑張ってほしいのですけど。


いつだって教訓は必要です。株価の差額で儲けようとする個人投資家には、周囲が十分に警鐘を鳴らし、時価総額経営を続けようとする企業には十分な情報開示義務を課す。この両輪を使って伸びたライブドアを、叩き潰すことを目的にするのではなく、正しい両輪の使い方へと誘導していくことが、僕たちの知恵であるべきです。


いかがでしょうか。さて・・・
芸術作品?「堀江の拳」という作品です。冗談が通じる人はご覧ください(音声付)



▼参考にしたサイトはこちらです。リンク切れもあるかもしれません。

Yahoo -ライブドア特集
Livedoor -ライブドア強制捜査特集
朝日新聞 -ライブドア事件特集
読売新聞 -ライブドア特集
毎日新聞 -ライブドア特集
投資事業有限責任組合法(ファンド法)について ―金融庁
ライブドア堀江式ビジネスには一貫したロジックが!(All about)
堀江社長のブログ
この事件のキーマンとなる宮内氏のブログ



▼この問題について、数々のブログから共感と教訓を教えてもらいました。

“抽象的な記述が多く、結局良く分かっている人はほとんどいない・・”
  →ロゴスの泉さん「解説お願いします」、本当ですね
“捜査機関側の法的な拠り所について疑問を投げるという視点”
  →ふぉーりん・あとにーの憂鬱さん、疑問んなのはよく分かります
“ネット上では(投資事業)組合に関する情報はほとんど見つけることが無く”
  →他愛もない情報(Garbagenews)をお知らせするサイトさん
“それにしても・・堀江逮捕か、堀江逮捕も、堀江逮捕へ?・・止めてくれ”
  →BigBangさん、ライブドア強制捜査に思う、内容は濃いです
“「投資家」(暴力団や脱税常習者政治闇献金者などの不正者)・・好都合”
  →オルトさんの Has His Sayさん、「裏の金を表の金に」だとか
“ライブドアの企業買収・・情報非開示を隠れ蓑/実質的には傘下企業”
  →FujiSankei Business i.BLOG、なるほど講座「投資事業組合」
“ライブドア取引の整理:逆飛ばし疑惑を見てみる”
  →保田隆明さん、図付きの平易な解説
“株分割、M&A手法、投資事業組合を利用した取引云々、粉飾決算”
  →マルコのブログさん、サンプロ(番組)の論点を斬る
“価格つり上げ・・バリュー社・・儲けたのは組合・・同じライブドア傘下”
  →汁ムゴ魚さん「ホリエモンが何したって?」
“我々のようなベンチャーキャピタルは・・LPと・・GPに分かれます”
  →小林雅さん、現場からの解説です
“マスコミ各社の方々から、今回の監査法人についてどう思うか?というご質問”
  →isologue −by 磯崎哲也事務所さん
“ライブドア強制捜査前から注目している楽天(証券)組成の不動産ファンド”
  →ジャーナリスト・山岡俊介さん、情報紙「ストレイ・ドッグ」
“ライブドアに対する強制捜査、風説の流布、偽計などを英語で言うと”
  →ビジネス英語雑記帳、日向清人さん



Posted by cancheer 03:58 AM | 固定リンク
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「Garbagenews.com」のサイトから
Posted at 2006.01.23 12:03
ライブドア社長の堀江貴文氏を逮捕
ライブドアグループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日、同法違反容疑で堀江貴文社長(33)らを逮捕した。株の時価総額拡大を目標に短期間に急成長した企業をめぐる疑惑は、トップの強制捜査に発展した。
「今話題の情報を集めています。」のサイトから
Posted at 2006.01.24 02:11
「正義」のコスト
日本では堀江氏とライブドア幹部の逮捕について、どういう受け止められ方をしているのか、今ひとつよく分からないのですが、私個人的には、実に暗澹たる、というか、やりきれない気持ちで今回のニュースを聞いています。特に暗澹たる気持ちになったのが、このasahi.comの...
「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」のサイトから
Posted at 2006.01.24 04:40
推定無罪はマスコミ批判の最後の逃げ場
サミュエル・ジョンソンのPatriotism is the last refuge of a scoundrelにならって。
「佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン」のサイトから
Posted at 2006.01.24 13:10
ホリエモンで良かった。ホッ!
よくよく考えてみたら、ホリエモンの存在意義は、社会のインフルエンザ予防接種。彼は、価値を提供する事はできなくとも、弱点を見つける事が人一倍上手な人。そして、ためらいなく行動できる人。ただし、普通気づかない矛盾をついた攻撃をしてくるけど脇が甘い。その結果...
「TrendCyclone」のサイトから
Posted at 2006.01.26 19:38
ホリエモンを持ち上げていたのはどこの誰?
各メディアでホリエモン叩き、堀江を利用しての自民叩きが激しいがその堀江を「時代の寵児」ともて囃していたのは他ならぬマスコミである。 その中でも朝日新聞と民主党の手の返し方が本当に凄い過去の新聞記事を見つつ、簡単に振り返ってみる。
「わたしさくらんぼ」のサイトから
Posted at 2006.02.10 10:40
ライブドア 事件 解説
ライブドア社のやり方は簡単です。割安な会社を探します。そして再生します。 ...Livedoor -ライブドア強制捜査特集 # 朝日新聞 -ライブドア事件特集 ... ロゴスの泉さん「解説お願いします」、本当ですね # “我々のようなベンチャーキャピタル ...
「人気Blogランキング[今週16位]」のサイトから
Posted at 2006.04.17 07:12
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