cancheerの考え方
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風刺画がダメで、チームアメリカはOK

日付

2006.02.08


風刺とは批判的、嘲笑的なものです。ただ、決してネガティブなものではありません。世相を切り取る、一種の芸術的価値を秘めたものだと思います。僕らはそれを現に愛し、楽しんできました。相変わらず高い支持率を堅守する小泉さんでさえ、嘲笑の的です。でも、あれは・・いけないんですって。


ニュースから、映画・雑誌・洋書のガイダンスまで。


世の中はかくも難しきもの。例の風刺画問題で、世界中、本当に盛り上がっています。僕は、風刺画がとっても大好きですが、何を描いても許されるわけではないんですね。Wikipedia(英語版)【GO】に、議論の詳細解説があります。また、問題になったデンマーク紙Jyllands-Postenの掲載イラストも、そこに転載されています。Wikipediaは大丈夫でしょうか。


この問題は、昨秋から色々と指摘されていたことですね。転載、転載と重ねているうちに、あるタイミングでドーンと騒がれてしまった。大丈夫かな、大丈夫みたい、大丈夫なはず、大丈夫にちがいない・・こんな具合だったのかもしれません、とは僕の勝手な独り言。


●風刺画問題、文明の衝突にしないで!
    〜時代を読む!タイムガイダンス

また、うんざりするような問題に発展しています。「心の問題」として中国と対立する小泉首相と同様、海外では「表現の自由」としてアラブ諸国の怒りを買った風刺画があります。これらを二つを同列視するのは、批判を招くに違いありませんが、共通点としては受け取る側が勝手に怒って、過激な抗議を始めてしまう点です。悲しいかな、このような行為の正しさとは別に、過激で暴力的な連中に口実を与え、罪のない人々が被害を受けるという事態に、極めて不快感を覚えます。デモは認められた表現形態です。しかし、大使館に火を放つのは犯罪です。当事者が謝っているのですから、これ以上、事態を複雑にしてほしくないですよね。【続きを読む】
ぜひ、英語も楽しんでください。



上記の『世界、ちょいびき!』でジャカルタポストの見解をご紹介した通り、「表現の自由」とはつまらない口実だとする意見が、イスラム諸国の中では大半のようです。確かに、僕らの社会にも、表現の自由とは言いつつ、被害にあった人がいれば名誉侵害などで訴えるわけで、社会のルールとはうまくできているはずでした。ところが、世の中は、そう簡単ではない。当の雑誌は謝罪しているのに、被害はますます拡大し、今や、誰が責められるべき人なのか分からなくなったまま、暴動は広がっています。


 

一昨年、僕がアメリカいるとき、『☆Team America☆ World Poice』【GO】という人形劇映画を観に行きました。日本では、確か、一部の劇場で昨夏の公開でしたっけ。あの北朝鮮の指導者が実名で登場。悪の帝王(的役柄)として熱演。最後には・・という恐ろしいストーリー。こんなの風景画ではすみませんね。建前上、彼は、同国では崇拝の対象であり、現役の政治指導者なのですから。さすがに僕は、あのバカ騒ぎが好きなアメリカの劇場で、やや肩をすぼめながら観ていたのを覚えています。


幸い、政治的な対立は続いても、戦争や暴動にはなりませんでした(なりえなかったとの指摘も・・)。風刺もここまでくれば、嘲笑・侮蔑となっているわけですから、許されない範囲ではないかと個人的には思っていました。


僕は、前から申し上げていることですが、過激で好戦的な意見は大嫌いです。もっとも戦うべき相手は、そういう方向に国論を故意に誘導しようとする人々です。多分、風刺画問題というのは格好のターゲットにされたのでしょう。あくまでもその観点からですが、「表現の自由」に固執し、正論を言い続けるのはどうかと思います。個人的には正論だと思います。自由主義の国においては、書いた人を逮捕することもできないし、その人々に絶対服従を強いることもできないでしょう。ただ、政治の重要な役割や知恵とは、その個人レベルや民間レベルの強固な意思を、政治というオブラートにくるむことにあります。


アメリカやイギリスは、みずからの足元に多くのイスラム教徒を抱え、慎重で懸命な対応をしています。今回のことは、「表現の自由」と「宗教の尊重」という正義の対立ではないのです。自由の乱用と宗教の動員とが激しくぶつかった結果です。両者とも、政治は、何の有効策も打てていません。どうか、これによって、まったく罪のない人が犠牲になることだけは避けてもらいたいと思います。商売で、生きる糧を失う人が出たり、火炎瓶で命を失ってからでは遅いのです。


本当に、お願いしますよ・・・。
さて、『チームアメリカ』はレンタルも始まっています。くれぐれも、お子さんとは一緒に観ないでくださいね。








▼本件では、小林恭子さんのサイトがとても勉強になりました。

“欧州各国の風刺画 掲載・再掲載までの経緯 編集室の苦悩など”
  →小林恭子さんの英国メディア・ウオッチ
“インターネットメディアの興隆と欧州における移民の問題は多分にある”
  →極東ブログさん、
“イスラムは、不寛容な宗教では無かった筈です。どんどん不寛容な方向に”
  →酔っ払いのうわごとさん
“無邪気な民主主義vs悪ノリ暴動”
  →天河夢想さん、独り言から始まる不完全メディア
“イスラム関係では過去に『悪魔の詩』の翻訳者が殺害されたりして”
  →くまさんの自立さん
“風刺画の作者や出版社より、暴徒化したイスラム教徒の方を問題視”
  →禁煙日記 禁断症状さん
“預言者をあざ笑い、侮辱・・風刺画を書いた人達に反省を求めたい”
  →宮本一郎ブログさん
“キリスト教の十字軍時代にはムハンマドを誹謗する風刺画が描かれた”
  →日付のある紙片さん

“こういう世界をジョーク(笑い)として捕らえられる人にはお薦めします”
  →オリコンスタッフ“ちはらん”の日記さん
“北朝鮮の独裁者、何の遠慮もなく茶化して・・人形が良くできている”
  →映画侍、ぶった斬り!!!さん
“テロ枢軸国から、ハリウッド映画会、俳優のユニオンまで大いに皮肉って”
  →ものづくるさん
“下品な人形劇ということで、ピーター・ジャクソン・・を思い出した”
  →Hugo Strikes Back!さん
“時代に逆行したパペット映画、女の子と観ちゃうとドン引きされる”
  →ナニミル?〜DVD日記〜、Kenさん
“正義を振りかざして、破壊の限りを尽くす・・過激さに大爆笑”
  →CINEMA正直れびゅさん

チーム・アメリカ ワールドポリス@映画生活


Posted by cancheer 02:33 AM | 固定リンク
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