cancheerの考え方
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証人喚問:篠塚・姉歯両氏に黒

日付

2005.12.15

連日、予想外のアクセス数をいただいた小嶋社長(ヒューザー)に関する記事の続編ですが、昨日の証人喚問で問題の本質がずいぶん明らかになりました。軽口をお許しいただければ、この問題は、極めて単純なところから始まっていると気付いたので書かせてください。ただ、こちらで耐震強度の偽装問題を取り上げるのは最後にしますね。


まあ、「いいじゃないか」・・というコーナーは、
瞬間風速のニュースにコメントするものです。


今回の記事の結論は、いつもの「いいじゃないか」ではすみません。


「篠塚氏から鉄筋を減らすよう相当プレッシャーをかけられた」  【姉歯氏】

端的に申し上げると、木村建設の篠塚東京支店長が、真面目で弱腰な姉歯建築士に、行き過ぎたコスト削減を迫ったことがすべてでした。



(姉歯氏の発言と僕の意見とは異なりますが)篠塚氏は、おそらく技術や安全要件をあまり理解しないまま、知ったかぶりで買い叩きのような態度に出ていたのでしょう。なぜなら、問題の重大さを何も理解してないからです。


「プロ(篠塚氏)が図面を見れば分かるはず」「何度も無理ですよと伝えた」  【姉歯氏】

篠塚氏は「営業経費の捻出」のために姉歯氏からリベートを回してもらったと発言していました。


篠塚氏のような立場の人にはありがちです。仕入先に圧力をかけて浮いたお金を手にいれ、みずからの販売先に振舞うのです。営業にお金がかかるという人は、その財源を捻出する必要があります。ひとつは、会社の経費。二つ目はポケットマネー。そして三つ目が今回の事例にあたり、取引先との間での経費操作により浮かせるお金です。


僕は決して姉歯氏を擁護しているわけではありません。一番真面目そうな人だからと同情してもいません。「脅され」て、「病気がちの妻がいる」から不当な圧力に従うんだったら、世の中にはもっとつらい立場でバカ正直に生きている人たちがいるからです。ましてや、彼はそれほど窮々とした生活をしていたわけでもありません。彼の手を染めた改竄・偽造は、何にも増して重い罪です。


僕自身は過去、販売代理店の担当者から嫌がらせや脅しを受けたことがあります。会社としてどう対処するかは、そんな奴らと付き合うかどうかの選択でもあります。理不尽な担当者や会社とお付き合いを続ける場合、脅しや嫌がらせ、不当な圧力は一回ではすみませんので、早め早めの毅然として態度が重要です。


「民間検査機関に審査に出した時点ですぐばれると思っていた」  【姉歯氏】

「これ以上できません」と明確には違法性を口にしなかった姉歯氏に対し、篠塚氏はこれまた「法律の範囲内で・・」のつもりだったとか。ちゃんと言葉にしようよ!


真面目な彼が篠塚氏に強要され、ダメ元で、偽造の構造計算書を作成。どうせ検査機関から拒否されて戻ってくる・・そしたら、「だから無理だと言ったんです」と開き直ればいい・・きっと始まりは、その程度だったと思います。その審査が通ってしまった。―何だ、スクーターで60キロを出しても捕まらないや―てな具合でしょう。


自由に使えるお金がほしかった篠塚氏、そして、開き直った結果で偽造に手を染めていった姉歯氏。この二人は、「不法」な行為とお互いに確認することなく、責任を相手に押し付け、気付けば二人でせっせと耐震強度のないマンションを造り続けてきたのです。


姉歯氏に名前を連呼された篠塚氏は、220万円もの資金を捻出していたそうです。篠塚氏の表情には、まだ挙がってくるであろう物証に不安を隠せないように見えました。繰り返しますが、彼には、違法行為であるという認識すらなかったと思います。僕の受けた印象では、日頃、大雑把で力技を仕掛ける仕事の人が、突如、細かい見落としを指摘されたときの態度そっくりでした。自分の中での内なる基準はなく、人を脅して仕事をしているうちに、あれもうまくいった、今度はあれもと、彼の中ではそれを積み重ねたにすぎなかったはずです。罪悪感もなく。







それでは、他の人たち、たとえば、木村建設の木村社長や、黒幕と称される総合経営研究所(総研)の内河健所長、甘い検査だったと批判されているイーホームズの藤田社長、そしてヒューザーの小嶋社長などは悪くないのでしょうか。あるいは平成設計やその他の登場人物が問題ないと言い切れるのでしょうか。僕は、次のように考えます。



二人の違法行為に、ありがちでずさんな人間関係(人間性)が共鳴してしまった結果、今日のような事態を招いた。。つまり・・;


1)藤田氏の存在によってこの事件が明るみに出た。

2)カリスマコンサルタントの内河氏はあんなもの。
   →総研で、技術指示をしたチーフたちは「微妙な関係」の中で暗躍。

3)小嶋社長は「口害」で自分のクビを絞めた。

4)木村社長は経営者としてずさん過ぎた。


大きなポイントは三点です。



【藤田氏を少しかばってみました】

具体的に言いますと、藤田氏がテレビで発言している通り、彼の発表がなければ、問題の発覚はさらに遅れていた可能性があります。また、検査機関が、ゼロからすべてを診断するわけではありません。したがって制度的欠陥であることは自明です。今日、夕方に日テレで生出演していた藤田氏ですが、番組側が視聴者ウケを狙って、「あなたも同じ一員だ」と十把一絡げに追及していたのは、身も蓋もない議論だと感じました。

藤田氏の会社が審査の質に問題があったことは事実のような気がします(推測)。ただ、問題を明るみに出した側が不利になる状況は避けたいものです。隠蔽しておいたほうがよかったとなれば、再発防止・再発抑止になりません。




【カリスマコンサルと顧客の関係に着目】

カリスマコンサルタントは、世間にもたくさんいます。そして多くの企業を指導し活躍されています。内河氏の発言、「分かる人間は社内にいない」とか、「組織表は知らなかった」とか、すべて本当だと思います。彼が把握している実態はそんなもんです。そんな人でも、盲信する人はたくさんいますし、ほんのささいなアドバイスに満足する人もいます。また、責任をもちたくないサラリーマン社員が外部のカリスマの言葉を担いで、仕事を進めるにはぴったりの存在です。

コンサルという職種に馴染みがない人には驚きでしょうが、事実です。僕は彼を皮肉っているわけではありません。仕事に、現場に、そういう人は必要なんです。それをリーダーと言えば想像しやすいでしょうか。だから、誰かが作った組織表で勝手にトップに祭り上げられてしまうんです。では、具体的な指示を出したと指摘された総研のチーフコンサルタントの人たちはどうか。実は、具体論をもって指導していくのは、多くの場合、カリスマの下にいる社員たちです。


問題はここに内包されています。虎の威を借りて指導するチーフたちはみずからの発言力の重みをついつい忘れがちです。勢い、提案ではなく、指導になってしまい、引いては自分の意見が「指示」にまで昇華してしまいます。他方、指導を受ける立場の人々は、「先生がおっしゃるなら・・」なんて意識が働いて、催眠術でもかけられたかのように従ってしまうのです。一度、この関係に陥ると、提案・助言をしていくコンサルが、上部機関になってしまい、お客さんの側が下請けのような役割に変わってしまいます。


ましてや今回、成功報酬体系をとっていたことが、この構図の歯止めをなくしてしまいました。僕が以前いたコンサルティング会社でも、固定報酬を堅持するか、成功報酬体系を一部導入するかで議論になりましたが、顧客との関係において第三者的提案者という立場が崩れてしまう恐れもあり、ついぞ慎重になってしまった経緯があります。コンサル業界で最近ハヤリの成功報酬が悪いわけではありませんが、意思決定と責任権限だけは、顧客との間で明確にしておいたほうが懸命です。



【ずさんな経営者になっていた木村社長】

小嶋社長の場合、前回にも詳しく触れましたのでここでは省きますが、初期対応でつまずいたのが運のツキ。発表の延期要請や国交省への相談、住民への保証発言など、よく確認もしないで、トップダウン式にコソコソ&バタバタと動いてしまったため、誤解が誤解を招き、結果的には人格攻撃されるまでに至りました。【前の記事へGO】


逆に木村社長の場合は、何から何まで社員任せだったのでしょうか。みずからの知恵がない中、たまたま新工法とやらで実績が上がったにすぎず、詳細はほとんど知らなかった。お金がついてきていること以外には興味がなかったのかもしれません。きちんとした複数の幹部を育てておかないと、こうなるといういい事例のように感じました。部下を信頼していたなんて言葉は、根拠のない管理の怠慢に他なりません。。



総括だけしておきます、せめて楽しく?ラップ風に。

この問題が起こった構図は、姉歯氏の「暗黙の違法」と篠塚氏の「無知の違法」から始まり、木村氏の「放任の経営」が偽造案件を拡大させた。その後、藤田氏の「突然の“違法”」宣言で、小嶋社長が「癇癪の釈明」を繰り返し、問題は脱線、混戦、金銭。
そして、よくよく調べてみると、内河氏の「適当な指導」に始まり、現場では総研の連中が「資格なき指示」と、木村建設の「意志なき判断」で見事なハーモニー、壮大なセレモニー、「罪なき住民たち」がそこに入居、夢は隠居。Che, Che,,,


罪悪感のあった確信犯の姉歯氏、単なる「無知」のまま権限・立場を乱用した篠塚氏二人の違法行為に、ずさんな人間関係が共鳴してしまった結果・・・だと僕は考えます。 ヘ(´o`)ヘ ハァ




それにしても、僕自身が勝手な憶測で、適当なことばかり書いてすいません。でも関係者の立場や関係は想像に難くありません。僕も経験したことがある、極めて、ありがちな人間たちです。このサイトでは、もうこの問題は終えましょう。気が滅入りそう・・。




▼巷のご感想を確認するために参考にさせてもらった速報ブログです。

「衆院国土交通委員会 証人喚問木村・総研詳報」(zaraさんお疲れ様でした)
「馬渕議員の質問は本当に見事でした・・」(このブログの紹介の仕方も見事)
「公金支出するので原因追求→証人喚問」(その通りでしょう)
「K建設のS氏・・どう見ても“嘘つきの顔”だ」(外見からは・・(^^;))
「確実なのは、誰かがウソをついている!ということ」(偽証罪?)
「個人的な見解を言うと、姉歯氏は大筋正直に答えてた」(彼がウソついてもね)
「罪悪感を感じながらもやらざる得ないのではないだろうか?」(So?)
「心に響く血の通った謝罪なんて、そんなものないんだよ・・」(口だけならね)
「妙に鼻についたのが、議員さんたちのいばった態度。」(こういう意見は必ず)
「自民党の渡部具能・・愚鈍な人間の言葉だ。こんな奴が何を聞いてもダメだ。」(僕と違った辛口)
「突然、最大の“財産”が巨額の“負債”になった住人の心情を思うと」(正論)



Posted by cancheer 02:48 AM | 固定リンク
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衆院国土交通委員会 証人喚問木村・総研詳報
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「兄やんの一言モノ申す」のサイトから
Posted at 2005.12.15 18:21
稚拙すぎる証人喚問
今ラジオで証人喚問を聞いてるんだけど、ひどすぎるね。おそまつの一言。 質問してるというより議員の演説みたいだ。 証人喚問って「証人に答えさせる」のが目的だろ? 議員のほうが証人の10倍しゃべってるぞ(汗)。 「ヤクザの親分が玉取ってくるとき……」なんて全...
「時代のウェブ・ログ」のサイトから
Posted at 2005.12.15 19:47
年明けに小嶋社長証人喚問
世論が政治を動かすこともあるんですね!
「鉄人ママの社長ブログ」のサイトから
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