cancheerの考え方
タイトル

野村ノートに思いをこめて

日付

2005.12.29

「借りた傘も雨があがれば邪魔になる」。だから、僕はほとんど傘を持ち歩きません。そしてずぶ濡れになります。バカだと言われ、風邪を引くと注意され、幸い、まだ風邪を引かずにすんでいます。さて、この言葉を引用した『野村ノート』(楽天監督・野村克也著)から、経営に生かせる教訓を拾ってみます。

「まあ、いいじゃないか」という、気楽&独楽コメントコーナーは、
書評、社会評論などを前向きに行います。英語はお休みです。

 

野村さんは、僕が大ファンの阪神を三年間率いた監督でもあります。
が、結果は残せませんでした。そんな人から、僕は何を学ぶのでしょうか。


実際、野村氏が監督に就任して三年連続の最下位に低迷。一方、その後の阪神は、星野監督と岡田監督のもとで、四年間に二度のリーグ制覇を果たし、「名将野村」の冠にすっかりケチがついてしまいました。


特に、今年、野手で最高額の年俸を更改した今岡選手(阪神)。星野監督の時代には一番バッターで首位打者(最高打率)、岡田監督の決断で五番バッターに座った今年は打点王に輝き、ベンチの期待に最高のパフォーマンスで応えました。野村監督の時代には、「やる気がない」と評され、試合に出れない日々が続いていただけに、「野村再生工場」どころか、逸材をひとりつぶしかけていたのです。

したがって、阪神ファンの間での野村さんへの評価はいまいちです。結果がすべてのプロの世界にあってはやむを得ないのでしょう。


僕は、冒頭に引用した野村さんの言葉を、読んでおやッ?と思いました。

「借りた傘も雨があがれば邪魔になる」

僕が傘を持ちたがらないのは、傘を邪魔だと感じるのが嫌だからです。嫌だと思うくらいならやりません。もし、傘を持つなら、感謝して大事に持ちたい。だから今の僕には、まだ持てないんです。僕の、次なる大切な課題です。(笑)



野村さんの意味は、おそらく、身勝手な自分を許すな。周囲に感謝しろ。大人になれ。ってな感じでしょうか。阪神の選手には、その言葉の意味を理解してもらうのが大変だったようです。何しろ、あれだけの大阪のマスコミが群がり、監督と選手との間を引き裂こうとするのですから。


野村さんは、著書『野村ノート』でもインタビューでも、「監督の力などたかだかしれている」とおっしゃいます。僕もそう思います。監督って、現場のリーダーではあっても最高責任者ではありません。だから、現場の指揮をとるとともに、意思決定ができる人にそれをきちんとプレゼンする役割まで担っています。いわゆる中間管理職ですね。野村さんはそのことを強調し、組織力の大切さを説いていました。


阪神での失敗、ヤクルトでの成功、社会人野球(シダックス)での経験を活かし、楽天再建(いや、本人から言わせると創建でしょう)に取り組む覚悟だそうです。

僕自身は、人のマネジメントに関わったことがあります。いずれも小さな会社です。そして言い切ってしまえば、いくどかの成功と失敗を経験しました。特に失敗訓においては、勉強になりました。バカな経営者と対峙したとき、自分に何が足りなかったかがよく分かったからです。野村さんの言葉を少々借りてみましょう。


1)現場が決断を促す

野村さんは退任後、阪神の久万オーナーに「詰めが甘い」と言われたそうです。後任の星野監督は、「誰がほしい、いくらほしい」とみずから具体的に要求してきたそうです。僕自身も、あのとき、会社に在庫をさせるくらい動いてしまえばよかったと思います。バカな経営者は、「決断しないことが決断」などの迷言で、結局、何も決めず、その理由を他人のせいばかりにしていました。僕自身が退路を断つつもりの決断を示すべきでした。


2)現場が戦略を立案する

野村さんは、野球を熟知した方さえもうならせる精緻な視点を展開します。そして、現場を知らない責任者に、戦略論まで昇華させて伝えようとしています。四番(主軸打者)とエースは外から、精神的な支柱になれる存在を獲ってきてほしい、と訴えているのが好例です。現在は、選手名も挙げてお願いしているそうです。僕は、その点でも遠慮しすぎたと思います。バカな経営者と、機能していない役員会の、代案のないままの決定で、引き下がってしまったのです。


3)現場をひとつにする

「考えた上での見逃しの三振」は仕方ない。また、個人の選手の記録がかかっている場合、それをチームで応援したい、などと野村さんは書いています。一見、チームワークの支障になる行為ですが、逆にそれがチームをまとめる力になると考えているようです。僕に一番欠けていたのはこの点です。「所詮、バカな社長・・」と言う仲間を叱り、バカな経営者と本気で対峙するところまで持っていくべきでした。



補足しておきますが、通常、野球では、バットを振らないまま三振してしまう「見逃しの三振」は非難されます。そもそも振らなければ、バットに当たる確率もないからです。ところが「見逃し」とは、事前の予想がはずれて対処できなかった結果、生じるものです。重要なことは、打席で、何をどう予想していたのか、です。つまり野村さんは、考えてくれさえすれば、アドバイスはできる、だから、考えずに振ってしまうくらいなら、考えて見逃してもいいと説明しているのです。


僕の、上記三つの反省とは、ただ、バカな経営者を非難しているにすぎません。僕自身が、「つぶれそうな会社」での事業再建にたずさわりたいと言っているのですから、最初からもっと覚悟しているべきでした。他人をバカ呼ばわりしている僕がバカなんです。どんな状況でさえも、マネジメントが変われば、会社を変えられるはずなのに。


野村さんは「再生工場」と言われ、僕もそれにあこがれました。優秀な人材が埋もれている。あんな小さな会社で、何人かが腐りかけていたのです。

きっと、僕にはまだ「大切な傘」を手にする覚悟がなかったからだと思います。自分で何とかなると考えてしまい、自分ひとりが耐えれば乗り越えられるといつも考えていたからです。失うものはない・・くらいの範囲でしか、決断も行動もしていませんでした。本当は、守るべきもののために、覚悟をしてかかるべきでした。



一年ほど前、『成功は偶然、失敗は必然』との言葉で、たくさんのアクセスをいただきました。成功とはぬかりない準備をしていた上で、やっと偶然に転がりこんでくるものです。イチローが、すべての打席で考え、試し、全力で取り組むのは、たった3割ほどの成功を上げるためなんです。逆に、失敗とは、すべてリーダーの責任です。当時、会社にも自分にも自信をなくし投げやりになっている社員がいました。僕でできることはもっとあったはずなのが悔やまれます。彼らは、僕をかばってくれましたが、それは、僕への批判と同義だったはずです。

野村さんが阪神監督に就任したとき、当時のチームリーダーである和田選手を叱ったそうです。監督が変わっても、(試合は選手がするので)変わらない、と発言したのだとか。多少の誤解があったにせよ、選手がそう考えてしまえば、変われるものも変われなくなります。僕は結果として、「仲間を叱る」ことができませんでした。彼らをまとめて、バカな経営者を糾弾するまでにはいかなかったのです。僕がコンサルタントだった頃の恩師の言葉ですが、「縁なき衆生は度し難し」。だったら、それようの対処を考えるべきだったんでしょう。



さて、野村さんがどんな野球を見せてくれるのでしょうか。僕が以前に書いた【楽天が犯したタブー(監督解任劇)】のように、楽天のフロントは興行としてのプロであっても、野球チームを強くするためのプロではまだないようです。すでに、三木谷オーナーとの直談判で、新監督の闘いは始まっています。進化した野村監督を見守りつつ、僕自身も、そろそろ「大切な傘」をもつ覚悟を固めたいと思います。


ぬれた傘、雨があがって愛おしくなる



野村監督が肝に銘じている言葉だそうです。


心が変われば態度が変わる

態度が変われば行動が変わる

行動が変われば習慣が変わる

習慣が変われば人格が変わる

人格が変われば運命が変わる

運命が変われば人生が変わる


 


▼『野村ノート』をご覧になった方々のブログをご紹介します。

“学の無い輩でござんすが野村克也監督の本はほとんど買って読んでます”
  →godiac13 blogさん ←お見事!
“「夏がくると冬がいいという、冬になると夏がいいという」・・お薦めの一冊”
  →一教師の徒然なるままにさん ←野村さんは宗教指導者になれる
“監督就任前は野村が解説をすると予想した通りにゲームが進むと言われ”
  →muramatsukさん ←ロジカルシンキングね、なるほど
“野球とは「間」のスポーツ、「心理」のスポーツであることがわかる”
  →Shoulder.jpさん ←打者は四通りに「割り切る」んですね
“印象としては一般論的かなという感じがしないでもないけど”
  →劇団天野屋 Part3さん ←最初は僕もこんな印象
“ビジネスに役立てようと思っても、野球にあまり興味がない人は読まないほうが”
  →読んでみました、聴いてみましたさん ←確かに
“「考える」事を放棄しても生活は出来ます・・薬剤師に置き換えて学ぶ”
  →規格外の薬剤師也さん ←充実の連載
“ 『PRESIDENT』にイーグルス野村監督の記事〜「ダメチーム」負けグセ治療”
  → にわかファン背番号10番さん ←楽天頑張れ
“野村監督の特別講演に行って・・カンニングペーパーを家に忘れてきたとのこと”
  →Go! Go! EAGLES!さん ←僕も行きたい(東京から?)
“楽天選手の年俸総額・・昨年より2億2700万円マイナスの17億6000万円”
  → 仙台のお兄さんのつぶやきさん ←経営はしっかりしてます

“専門家とプロが冷遇される国・・「何を評価しているのやら」(野村監督)”
  →佐藤直曉さん ←すごく面白かったので特別に

 

Posted by cancheer 12:26 PM | 固定リンク
この記事のトラックバックURL:http://kupppy.s57.xrea.com/x/mtsys/mt-tb.cgi/327
TRACK BACK
ザ・野村ノート
読書の趣味がなく学の無い輩でござんすが野村克也監督の本はほとんど買って読んでます。今回出た「野村ノート」を買ってきて、まだ全然読んでないのですが巻末に2ページ見開きで表がありました。なんなのかというと[キャッチャーから見た左右各打者のバッティングゾーン...
「godiac13 blog」のサイトから
Posted at 2005.12.29 18:34
野村克也「野村ノート」
野村克也「野村ノート」(小学館) 【出版社からの紹介文】 人と組織を変え成功に導く、名将の野球哲学 ヤクルト、阪神、そして社会人野球のシダックスの監督として、選手の育成、チームの改革を果たしてきた野村監督。その指導力は誰もが認めるところですが、選手の指導...
「ポロと旅する~あさちゃん。と一緒」のサイトから
Posted at 2006.01.04 10:39
野村克也「野村ノート」
野村克也「野村ノート」(小学館) 【出版社からの紹介文】 人と組織を変え成功に導く、名将の野球哲学 ヤクルト、阪神、そして社会人野球のシダックスの監督として、選手の育成、チームの改革を果たしてきた野村監督。その指導力は誰もが認めるところですが、選手の指導...
「ポロと旅する~あさちゃん。と一緒」のサイトから
Posted at 2006.01.04 10:40
野村ノート
野村 克也 野村ノート 多分、どの書店でもスポーツのコーナーに置かれてると思うんだけど…。 読んでみたら、なんか経営の方に近いのかなと。 だからビジネスにおいてみました。 これと古田のブログは売れましたね…。 そしてどの書店に行っても並べておいて
「乱読日記」のサイトから
Posted at 2006.01.24 12:51
『野村ノート』
野村ノートposted with amazlet on 06.02.13野村 克也 小学館 (2005/09)Amazon.co.jp で詳細を見る 人と組織を変え成功に導く、名将の野球哲学 ヤクルト、阪神、そして社会人野球のシダックスの監督として、選手の育成、チームの改革を果たしてきた野村監督。その指導...
「本がいろいろ」のサイトから
Posted at 2006.02.13 11:29
-
YAKM_Tekodeko_SF_234.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_377.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_197.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_269.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_579.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_770.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_208.jpg
YAKM_Tekodeko_SF_614.jpg
YAKM_Tekodeko_Chinatown092.jpg
YAKM_Tekodeko_ikebukuro.jpg
YAKM_Tekodeko_SF182.jpg
-
このページの先頭へ戻る HOME