cancheerの考え方
タイトル

<09>売るならほれ込め

日付

2005.09.19

結局、僕の再就職は、このペン型の電子辞書「クイックショナリー」の総販売代理だった会社を選びました。理由は簡単。売れるはずなのに、売れていない商品だからです。僕が立て直せば、僕の手柄になる。その“利ざや”を狙ったのです。


この連載がお届けするのは、行き詰まりかけた事業
ペンスタイル辞書の復活をかけた実話です。 (^^;)


わずかな社員数で運営されている同社の物販事業。
通販会社と組んでの発売当初、この商品はけっこう儲かったそうです。それからバージョンアップがなされ、搭載辞書もトップブランドのジーニアス英和辞書(大修館)になるなどを経て売上は持ち直し、これくらいの規模の会社を支えるには十分な利益をもたらしてくれました。


しかし、昨年春から販売実績に陰りが見られるようになりました。同じ商品を、同じチャネルで売り続けるだけでは、新規の需要を掘り起こせなくなってきたのでしょう。ましてや、キーボードタイプ(普通)の電子辞書は三ヶ月ごとに進化した新商品が投入されている昨今です。


さあ、入社した僕自身は、過去の経緯や基本的なルール、そしてメーカーや取引先へのご挨拶も含め、やることは山積でした。社長に直接の指導を受けながら、現状を丹念に整理・分析し始めました。


約一ヶ月。とても不思議に思ったことがあります。それは、社内や取引先の人で、自分たちが販売している商品「クイックショナリー」を日常的に使っている人がひとりもいなかったことです。しかも、この会社は、海外との取引が非常に多く、英語に堪能な人も多いとは言え、辞書を引きながらのコミュニケーションも多々あります。


売ることと、ユーザーであることは違うし、こんなもんかな。

僕は、自分に言い聞かせました。それにしても、数万円するこの商品くらいしか主力商品がなかった物販チームで、「クイックショナリー」を使いこなしている人がいない。社長ですら、使わずして「いい商品」と言っているだけ。さらには、取引先の方の中にも、「売れるからいい商品」であってそれ以上の思い入れをもっている人はほとんどいません。




まあ、どこかの自動車会社と一緒ですね。役員の連中は自社のクルマを愛しているわけでも、乗り倒しているわけでもない。顧客満足と口でいいながら、結局は、買う顧客の迷いや、買った顧客の悩みに応える準備を何ももっていない。

売るものを必ずしも好きにならなくてもいいのかもしれません。しかし、僕が買い手なら、そんな人たちから買いたいとは思わない。


僕の心の中に、何から着手するか、最初のヒントが芽生えました。


さて、英語に関心のある方の「クイックショナリー」へのコメントをまた見つけました。最近では、「二台目」(電子)辞書として増えている人が多いようです。




Posted by cancheer 08:35 PM | 固定リンク
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