cancheerの考え方
タイトル

英文法と単語力

日付

2005.10.16

創刊した『英語野郎』(Yaroo)の特集に便乗したちょいびき的コメントも、「聞・読・書・話」に続いて五回目。同誌は、全部で10の「惑わされてはいけない迷信」をひとつずつ丁寧に扱っていますが、僕は残りの6つを今回と次回で片付けちゃいますね。ご了承ください。


新コーナーの「英語を学ぼう」がお届けするのは、
お薦め学習方法や教材、その他ヒントになる情報などです。



過去の4回についてのちょいびき的コメントを、整理しておきましょう。

1)リスニング 聞き流せばいいんです。

2)リーディング 英語の順番でどんどん読んでください。

3)ライティング 人が書いたものをもっと見てください。

4)スピーキング どう話すかではなく、何を話すか。





迷信5.英文法
「文法中心の英語学習はやめるべき、日本人の文法はもう十分なレベル」
迷信6.ボキャブラリー
「中学レベルの単語で日常生活には事足りる」

これは迷信でしょうか。
双方の主張をひらたく言えば、これ以上努力しなくてもいいはずですよという耳に優しい誘い文句になります。
そうあってほしいのは山々ですが、僕の答えはノーです。



文法は非常に重要です。文法を学ばなくてどうやって話したり、書いたり、聞いたり、騒いだり(いや読んだり)できるのか、こちらがお尋ねしたいくらいです。ただし、ある文法書は、文法学者同士のような会話をタラタラと掲載しています。五文型とか不定詞とか動名詞とか、難しい名前を使おうとします。よく読んでいただければ分かりますが、多くの文法書は、解説のためにこれらの文法用語を使いたがります。

たとえば、「この英文はなんでこんな風に訳すんですか?」

"I would argue about that there are huge social benefits to the rich countries as well, in not living in the world endangered by social instability."


「それはねぇ、“in”の後に動名詞がきて、条件をあらわしてるんだ・・・。」と言われても、学習者にとっては目が点になってしまいます。

はっきり言ってしまえば、もしこの英語が分かりにくいなら、英文が悪いと思っていればいいんです。きっと、日本人の僕の日本語ですら、分かりにくい言い方をしてしまったときは、みんなから非難轟々ですよね。しかし、海外の偉い方が言った文章だから、それを取り上げて、挙句の果てには受験にも登場することがある。それを訳せとか、理解しろ、って言われたほうは、悲劇以外の何者でもありません。



くれぐれも誤解ないように。文法的な解釈や、各品詞の役割をする研究や議論は、大変結構なことなのです。問題は、それを必要としない人にまで強要してしまう現在の英語学習のあり方なんですね。

まず、あの文章の文脈を理解しておきましょう。内容自体は非常に高度で、素晴らしいものです。


「貧しい国々ではひとりが病気で倒れてしまうことは、あらゆる産業に対する損失にもつながる。なぜなら、その分のお金が、治療費や予防費などに投じられたりするからだ」

そして、先ほどの文章です。


I would argue about that 私が論じたいのは

there are huge social benefits to the rich countries as well, 膨大なメリットが豊かな国にあることなんだよ

in not living in the world あんな世界に住んでないことでね、

endangered by social instability. (あんな世界とは)社会の不安定要因にさらされてることさ



つまり、豊かか貧しいかという違いだけでなく、貧しい国には自立してやっていくための安定さが足りないと言っているんです。暴力行為に出る他部族、マラリアを媒介する蚊、エイズに犯されているかもしれない恋人、麻薬にはまってしまった仲間など、すべてが毎日の脅威として不安要因になっているとしたら、気が狂いそうですよね。


だから、この経済学者である筆者は、先進国には“Social instability”がないという“Social benefit”があるんだと主張しているんですね。もっともっと、貧困をなくすための措置を打つ必要がある、というのが筆者の論点です。



英語は前の文章を補足するために、次々と文を付け足していくという構造です。学習者はあまり難しいことを考えず、前の内容の何を受けているのかを理解していればいいのだと思います。そのとき、英語が嫌いにならない程度に、文法のことを学んでほしい・・・。

もし、文法に関してどうしても一度すっきりされたい方は、西巻先生の著書をご紹介します。たまたま『世界、ちょいびき!』でも取り上げました。異論・反論を抱えている方ではありますが、ご参考になると思います。

結論ですが、文法はニュアンスを伝える手段です。日本人は難しい文法用語を覚えて効率的な学習だと思い込んでいますが、そんなことよりは、たくさんの文章を見て、どのニュアンスのときにどのような表現を用いてるのかを確認していることのほうがスムーズだと思います。


また、単語力に関しても同じです。向こうで生活をしたいだけなら、中学英語を完全にマスターしていればいいのかもしれませんが、この基本語ほど難しいものはありません。Make、take、getなど、基本語は副詞などと組み合わさってどんどん多様に、難しくなっていくものです。中学英語には出てきますが、その奥行きまではとても解説しきれていません。単語数としては中学英語ですが、だからと言って中学英語で大丈夫というのは、暴論だと思います。


せっかくですから、この経済学者の著書を紹介させてください。僕の本当の目的は、この本を紹介したいことだったりして・・・(#^.^#)

援助してあげるのではなく、支えあうための仕組みづくりが地球規模で必要であることは、多くの社会問題を見ても明らかだと思います。


《同書に関するお薦めサイト》
読めば読むほど (ボノの紹介文を訳してくれています)
国家公務員モマ (公務員の方が読んでくれているとうれしいですね)
ただ漠然と (読んだ後、考えることが大事ですね)
酔月亭 (貧困との戦いに走るU2のレポート)





Posted by cancheer 04:31 PM | 固定リンク
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Jeffrey Sachs『The End of Poverty』序文 by Bono(1)
The End of Poverty Jeffrey Sachs / Penguin Books Ltd ISBN : 0141018666 10月5日ニューヨーク大学で開かれた「The End of Poverty」というレクチャーで、基調報告を行ったジェフリー・サックス教授の紹介のスピーチをボノが10分間行った。 http://biz.yahoo.com/...
「読めば読むほど」のサイトから
Posted at 2005.10.17 11:33
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